AUTOCARアワード2019 イシゴニス賞 ディーター・ツェッチェ

公開 : 2019.06.01 18:50  更新 : 2019.06.03 08:54

変わらぬ刺激 注意が必要

ツェッチェは、フランクフルトで電気工学の学位を取得すると、すぐにメルセデス・ベンツのR&D部門で働き始めており、現在の自動車業界も、彼がキャリアを積み始めた43年前と変わらず、刺激的なものだと言う。

「もちろん、状況は大きく異なります」と彼は言う。「当時、自動車には多くの課題が突き付けられており、なかでもガソリン価格は大きな問題でした。いまの自動車業界は、当時よりも外部の規制を受けるようになっており、注意深く対処しなければ、起業家精神を維持することなど不可能です。つねに用心深く行動する必要があるということです」


そして、「かつてはSFのようなものだと考えられていた技術が、いまでは当たり前に目にするようになっています」と彼は続ける。「対象とする領域が広がるとともに、ときに不確実性も増しているように感じます。ですが、良い面も増えています。もちろん、上手く対応できなければ、リスクもありますが、少なくとも、エンジニアに課された使命は、40年前と同じように刺激的なものです」

自動車メーカーにとっては、大きな障害となり得る、潜在的リスクを伴う現在の規制環境について話しが及んだ時には、ツェッチェも他の自動車メーカートップと同じように、痛烈な批判を浴びせるかと思いきや、彼はむしろ慎重な言い回しで、「こうしたひとびとも、さまざまなレベルで自動車業界に貢献しています」と話す。

「多くが事態を理解していますが、なかには、真の問題に関する、わずかばかりのヒントすら与えられていない場合もあるのです。政治家であれば、重要なゴールを設定するだけで、技術的な問題を理解する必要などないかも知れませんが、それも程度問題です。ときに、規制のシステムにはバランスが欠けていることがあります」

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