AUTOCARアワード2019 イシゴニス賞 ディーター・ツェッチェ
公開 : 2019.06.01 18:50 更新 : 2019.06.03 08:54
お気に入りの1台 スタイリングの重要性
お決まりの質問をせずに、今回のインタビューを終えるわけにはいかない。長年にわたるエンスージァストとして、ディーター・ツェッチェはお気に入りの1台を応えてくれるだろうか?
多くが質問することであり、答えるのは簡単だとツェッチェは言う。彼のお気に入りはガルウイングドアを持つ、メルセデス・ベンツ300SLであり、ミッレミリアでの数回以外にも、数々の場面で運転したことがあると言って、それを証明するかのように、写真撮影では、楽々とキャビンへと乗り降りする姿を見せてくれた。
ではライバルはいるのだろうか? 彼は(慎重に愛ではないとしつつ)「感情を揺さぶる」クルマだとして、アストン マーティンの名をあげているが、このゲイドンを拠点とする自動車メーカーの株式を、ダイムラーが5%保有していることを覚えていらっしゃるだろうか?
さらに、「レンジローバーのなかにも、何台か素晴らしいモデルがあります」と明言している。だが、ツェッチェがCEOを退任したからといって、彼のなかに流れるメルセデスの血が失われることはなさそうだ。
最後に、自動車好きの未来について話しをしたが、ツェッチェは躊躇することなく、電動化や自動運転、CO2オフセット、さらにはコネクティビティーといったものは、オールドスタイルのクルマ好きにとっては、決してプラスにはならないだろうと言う。
それでも、彼の見解はハッキリとしたものだ。では、クルマ好きはこの状況にどう対応したらいいのだろう?
「もちろん、電気モーターのサウンドに興奮などできないかも知れません。それでも、Aクラスが良い例ですが、最新モデルの騒音や振動の少なさや、乗り心地の良さを多くのひとびとが称賛しています。そして、2.3GものコーナリングGなどよりも、洗練性を高めるほうがはるかに容易なのです」
「クルマの評価とは、依然として技術とはほとんど無関係なスタイリングから始まるものだと考えています。つまり、偉大なモデルと、つまらないモデルを分かつものは、何も変わっていないのです。さらに、インテリアデザインは、非常にエモーショナルなものです。将来にも、新たな創造性やワクワク感を創り出すべき領域は数多く残されており、それはこれからも変わることはありません」