AUTOCARアワード2019 デザイナー賞 ローレンス・ヴァン・デン・アッカー

公開 : 2019.06.02 07:50  更新 : 2019.06.03 08:54

サイクル・オブ・ライフ

ルノー製モデルは「voitures à vivre/cars for living(ともに生きるクルマ)」として、すべてのモデルが、家族にとって特別な役割を果たしているのだと、彼は話す。

ヴァン・デン・アッカーの中心となるデザインビジョンによれば、人生のさまざまなステージは、人生そのものを中心に持つ、「サイクル・オブ・ライフ」というマーガレットの6つの花びらで表現することができると言う。

最初の花びらが表すのは「愛」であり、人生を前進させるものであり、さらに「冒険」から、「結婚」、「家族」、「仕事」、「バカンス」、そして「経験」へと繋がっている。それぞれがルノーのモデルと関連しており、そのすべてがそれぞれ関係している。つまり、商用車のルノー・マスターはクリオやエスパスといったモデルとも繋がっており、トゥインゴやキャプター、その他さまざまなモデルとも、関連しているということだ。

ヴァン・デン・アッカーのルノーでの挑戦は、2008年後半、マツダで見事なキャリアを築いていた時、突然ルノーからデザイントップのポジションをオファーされたことがきっかけだった。世界中が過去数十年で最悪の金融危機に苦しんでおり、不確実性が広がるなか、ヴァン・デン・アッカーは当時ルノーのトップを務めていたパトリック・ペラタからの、「偉大なクルマを作って欲しい」という、シンプルな依頼に触発されたのだ。


ペラタのオファーは完ぺきだった。2009年2月に彼はルノーへの移籍を決断し、(1カ月間フランス語に磨きをかけた後の)5月からは退任するデザイン責任者のパトリック・ルケマンからの引継ぎを受けるとともに、9月には後任の座に就いている。

「ルノーのデザインは驚くほど高い評価を受けています」とヴァン・デン・アッカーは話す。「すでに初日から、素晴らしい才能を持ったひとびとが揃っていることが分かりました。パトリック・ルケマンがルノーのデザインを一段高いレベルへと引き上げています」

「デザイナーはエンジニアリングや商品開発に責任を持つ立場ではありませんが、CEO直轄の部隊です。しかし、非常に厳しい時でもあり、まるで、世界がひっくり返るかのように感じていました。そして、長年ルノーを愛してくれたお客様が、ルノーのモデルから離れていってしまっていたのです」

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