AUTOCARアワード2019 デザイナー賞 ローレンス・ヴァン・デン・アッカー

公開 : 2019.06.02 07:50  更新 : 2019.06.03 08:54

コンセプトモデルはこれからも 新たなデザインフェーズ

2012年、新型クリオが熱烈な歓迎のなかデビューすると、デジール公開から2年後となる2013年には、クリオをベースとしたキャプチャーが登場し、さらに大きな喝さいを受けている。キャプチャーは、クリオのデザイン言語を、急速に拡大するBセグメントSUVクラスのモデルとして見事に表現することで、すぐにクラス最高のデザインと評価され、ルノーの販売回復に貢献することとなった。

ヴァン・デン・アッカーの「サイクル・オブ・ライフ」という人生とクルマに対する考え方は、いきなりすべてのルノー製モデルでも見られるようになり、「愛」から「冒険」、そして「家族」へと繋がっている。

それでも、トゥインゴやゾエ、エスパス、トラフィックといった、ルノーのモデルすべてで、同じように「サイクル・オブ・ライフ」のデザインが活かされているというわけではなく、デジールとクリオ、そしてキャプチャーという、最初にヴァン・デン・アッカーのコンセプトが反映された3台と比べると、以降のモデルには、より控え目で、より常識的なデザインが採用されていることに気が付くだろう。

ヴァン・デン・アッカーのもとからは、数々の魅力的なコンセプトモデルも登場しており、当初は、2010年のデジールにように、新たなスタイリングとデザイン哲学を知らしめるためのものだったが、後に、こうしたデザインの進化はこれからも続くことが明らかにされている(2016年のトレザーと2018年のEZ-GOがそうだ)。


さらに、数カ月前からは、新たなデザインフェーズが始まっており、市場をリードするという意志と、ヴァン・デン・アッカーに対する敬意で深く結びついた、彼と彼のデザインチームは、初めて自らのデザイン言語を再構築したモデルとなる、5代目クリオを登場させている。それでも、ヴァン・デン・アッカーは、自らの作品を見つめ直す機会は貴重だと語る。

「1世代で成功したくらいでは、強いブランドを創り出すことなどできないのです」とヴァン・デン・アッカーは言う。「最低でも2世代は必要です。最初の世代で課題を克服し、次の世代で安定と力を得ることで、お客先にさらなる魅力を提供することが可能になります」

では、その後はどうなるのだろう? 「3世代目を手掛けることになるかも知れませんし、他のデザイナーに新たな息吹を吹き込んでもらうかも知れません。デザイナーはつねに謙虚さを失ってはいけないのです。わたしがこのまま3世代目をデザインすべきかどうか、検討する必要があります。ですが、いまはまだその時期ではないでしょう」

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