テスラ 2019年第1四半期、約767億円の赤字 過去最悪に迫る 既存車の売上下落

公開 : 2019.05.30 11:20

時価総額は依然としてフォードを凌ぐ

その一方では、テスラに競合する新型EVが続々と登場している。ジャガーIペースは欧州で3月に1503台が売れた。これはモデルXの874台を上回る。さらにアウディeトロンやメルセデスEQCも販売が始まる。

フォルクスワーゲン・グループは、テスラ車よりも手頃な価格の電気自動車を開発中だ。モデルYが発売になる来年には、フォードから「マスタングに影響を受けた」マッハEという新型電動SUVも発表になる予定だ。

これらの逆風にもかかわらず、テスラの株価は成層圏のような高さを維持しており、悪名高い「空売り筋」(空売りする投資家はテスラの成功とは反対に賭けている)や、歴史ある自動車メーカーを苛立たせている。

欧州フォードの広報担当者は先週、次のようなツイートを投稿した。「2009年以来、テスラは64億ドルを失った。同時期にフォードは716億ドルを稼ぎ出した。それなのに今日もウォール街における時価総額は、テスラが450億ドルでフォードは380億ドル。世の中狂っている」

実現可能性の低そうな計画も

テスラ株の購入を勧める人でも、その熱意を見直す必要がある。先日テスラの厳しい決算発表が行われた後、金融調査会社ジェフリーズのアナリスト、フィリペ・フーチョワは次のよう書いている。「テスラ株が買いであるという主張は理解されないことがあります。しかし、われわれはテスラのEVとコネクティビティに関する技術と実験の価値を評価しています。利益率を維持する道が開けると、今でも確信しています」

この「実験」には、無線アップデートのように実際に役立っているものから、非常な奇抜な実現可能性が低そうなものまである。

マスクは先日、テスラの自動運転技術によって、オーナーは自家用車を使用していないときには「ロボタクシー」にクルマを提供して利益を得ることが、来年にはできるようになると主張した。それによって「テスラ以外のクルマを買う人は経済観念がおかしい」とまで言ったのだ。

投資銀行コーエンのアナリストであるジェフリー・オズボーンは、この計画を「生焼け」と称した。ほとんどの地域で、まだ自動運転車は公道走行の認可が得られていないからだ。しかしテスラにとって、「自動運転」は「自己資金経営」よりも実現可能性が高いらしい。

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