AUTOCARアワード2019 生涯功労賞 マイク・クロス/ジャガー・ランドローバー

公開 : 2019.06.02 09:50  更新 : 2019.06.03 08:54

速く走るよりも大切なこと

「優れたステアリングは、わずかでもそのクルマのハンドルを握ればすぐに分かります」と彼は言う。「例えそれほど集中していなくとも、ステアリングの出来を見誤ることはありません。優れたステアリング無しに、優れたクルマなど実現することはできないのです」

もちろん、クロスは才能に溢れた、驚くほど速いドライバーでもあり、定期的に彼はもっとも速く、優れた数多くのマシンのハンドルを握っており、かつてはフェラーリ製3.0ℓV10エンジンを積んだ、過激なF1マシンすら運転したことがあるという。

クロスのお楽しみは、所有するドゥカティの1台でサーキットへと向かうことであり、「最新のスーパーバイクに乗れば、本物のパフォーマンスとは何かということを理解することが出来ます」と、彼は言う。

多くの偉大なドライバーたちと同じく、クロスも自身のドライビングスキルがどのようにして身に着いたのかを説明することができない。「当たり前の運転をしているだけなんです」と彼は言う。つねに、単に速いドライバーであるというよりも、はるかに多くのことが車両開発では求められると彼は話す。そして、ドライバーのスキルとしては、究極の速さよりも、常に一定の運転ができるということがもっとも重要だと言う。

「クルマを速く走らせるということは、魅力的かも知れませんが、われわれの仕事の大半はそうしたこととは無縁です」と彼は説明する。

「重要なのは、低速での挙動であり、コントロール性、さらにはブレーキやアクセルのフィールといったものです。ふたつのチームがあり、一方は目標に向けたセッティングを、もう一方はその評価を行います。全員が運転と分析を行うことができます。われわれの仕事は、何が起きているのかを、エンジニアたちに理解出来るように伝えることであり、つねにその能力を向上させています」

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