AUTOCARアワード2019 生涯功労賞 マイク・クロス/ジャガー・ランドローバー

公開 : 2019.06.02 09:50  更新 : 2019.06.03 08:54

番外編2:類まれなる英国のリーダー デビッド・リチャーズ/プロドライブ


2019年の傑出した英国のリーダーに選ばれたデビッド・リチャーズは、すでに大英帝国勲章を受章しているが、長年にわたり、チームを率いるリーダーとしての役割を果たしてきた彼が、なぜそうした能力を身に着けることができたのかは、謎に包まれている。

それでも、リチャーズの「為せば成る」という姿勢が、重要な役割を果たしたことは間違いない。17歳でパイロットを志願したものの、英国空軍の奨学金を得ることに失敗した彼は、会計の道へと足を踏み入れており、奇妙だが、結果的には、それがモータースポーツの世界へと彼を誘うこととなった。

22歳で会計の勉強を終えると、プロのラリー・コ・ドライバーとしてのキャリアをスタートさせているが、同時に、金融知識と組織運営、さらには、どんな状況にあっても失わない落ち着きという、優れたリーダーに必須の能力をも身に着けていったのだ。

その後も順調にキャリアを重ね、23歳の時には中東でラリーを開催し、24歳では、フィアットフォードのレーシングチームのマネージャーを務めている。

29歳の時に、アリ・バタネンのコ・ドライバーとして、エスコートRS1800でWRCチャンピオンのタイトルを獲得すると、その後、現役中に、ポルシェBMW、そしてスバルとの素晴らしいパートナーシップのもと、数々の勝利を上げることになるプロドライブ社を設立している。

スバルとのパートナーシップでは、コリン・マクレーとリチャード・バーンズのふたりを、チャンピオンの座へと押し上げているが、リチャーズの挑戦は留まることを知らず、ベネトンとBARのふたつのF1チームでも代表を務め、その後は、アストン マーティンのレーシングチームを率いている。

プロドライブではいまもアストンのレーシング活動をサポートしているが、現在では、電動化と軽量化技術の開発にも力を注いでおり、さらに、1年前には、英国のモータースポーツを統括しているモータースポーツUKの会長へと就任し、徹底的な組織改革まで進めている。

「やるべき仕事を成し遂げ、最大限の評価を得ることのできるチームを作ろうしてきました」と彼は話す。

「その結果、早い段階から責任を自覚できるようになりました。モータースポーツUKの改革を通じて学んだように、指示だけで組織をリードしようとするよりも、優れたひとびとと議論を重ねたほうが、より多くを成し遂げることができるということにすぐに気付くはずです」

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