もっとも醜いフェラーリ? 世界に1台、ザガート制作 落札予想5000万円超え

公開 : 2019.05.30 12:05  更新 : 2020.12.08 18:48

ザガートの手で生まれ変わる

元通りに修理して路上を走り始めればよかったのだが、物事はそのように運ばなかった。ケネディはGTCをキネッティに戻し、キネッティはそれをイタリアのコーチビルダー、ザガートに送ったのだった。

普通のボディで作り直そうとは思わなかったキネッティの意向により、このGTCはザガートの手で風変わりなボディに作り替えられることになる。それより数年前、ザガートは250GTにシャープなエッジのボディを載せた「3Z」を製作していた。

この事故でダメージを受けたフェラーリを使って、まったくユニークなクルマを作り上げて欲しいとキネッティはザガートに依頼した。

ザガートが手掛けたボディは、ノーズ部分はデイトナに少し似ており、車体中央と後部はポルシェ914を思わせる。

見る角度によって前衛的な傑作にも思えるし、あるいはフランケンシュタインのようなクルマの怪物にも感じられる。

奇妙な、しかし唯一無二のクルマ

RMサザビーズによると、このボディの製作にはカロッツェリア・カルロ・マラッツィとMガストーネ・クレパルディが手伝ったという。そのため、改造されたボディシェルはまとまりがあるとは言えない代物になった。

よく言えば、いくつものデザイン言語を1つの特徴的なボディに結集することに心血が注がれた、とも言えるだろう。悪く言えば? どこから見ても角度がずれているような、無様で不格好で奇怪なクルマということになる。

エクステリアについて言えばこんな感じだ。まず、フロントにグリルがない。その横のラインはフロント・ホイールアーチの前後でずれている。タルガスタイルのキャノピーは、ボディの後方から3分の1あたりのところで急落している。

それは、2009年に「クラシック&スポーツカー」でマーティン・バックリーが書いたように、「角と曲線、突出の奇妙なコレクション」だ。

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