もっとも醜いフェラーリ? 世界に1台、ザガート制作 落札予想5000万円超え
公開 : 2019.05.30 12:05 更新 : 2020.12.08 18:48
ザガートとオーナーは大いに気に入っていた
これを好ましく思わない人々がなんと言おうと、ザガートは明らかに自身の仕事を気に入っていたようだ。この新たにボディを作り替えたクルマを、1974年のジュネーブ・モーターショーで自分たちのブースに展示したのだから。
予定通りに展示を終えた後、このGTCはキネッティに返却され、それからケネディの元に戻った。唯一無二のイタリアの駿馬を手に入れたケネディは大いに喜び、1990年代まで所有していたという。
ケネディが手放した後、この風変わりなクルマは1996年のペブルビーチ・コンクール・デレガンスに姿を現した。その後、有名なエドガー・シャーマーホーンのコレクションに加えられた。
シャーマーホーンの厚意により、2009年8月に前述のバックリーがわれわれの代表としてこのクルマを運転した。とはいえ、バックリーはこのデザインを気に入らなかったようだが…。
運転していれば素晴らしいクルマ
車台番号10659は「史上最も醜いフェラーリ」なのだろうか。バックリーは「醜さは隠しようがない」と書いた後、次のように締め括っていてる。「しかし幸いなことに、乗っている時にはそれを目にしなくて済む」
彼はこのクルマが「運転すると素晴らしい」と認めている。しかし、それはザガートの手柄ではない。
確かに意見は分かれるところだろう。しかし、それは多くのザガートのデザインと同様、画期的であることは確かだ。抽象的な自動車デザインにおける創造性の限界を押し広げることに挑み、現在も活気に満ちた議論を巻き起こすことができる。
それはこのイタリアのコーチビルダーの100周年を祝うのに相応しい。