アストン・マーティンV12ヴァンテージS

公開 : 2013.05.29 20:00  更新 : 2017.06.01 01:54

アストン・マーティンはレギュラー・プロダクション・モデルとしては史上最速のモデル、330km/hのトップ・スピードを誇るV12ヴァンテージSを発表した。

CC100コンセプトから引き継がれたフロント・グリルを特徴とするV12ヴァンテージSは、そのパワートレーンに565bhpを発揮するV12ユニットと、これまでの6速マニュアルから変更された7速オートメイテド・ギアボックス、そしてアダプティブ・ダンパーが装備され、車両重量の軽減が計られたモデルだ。

アストン・マーティンのプロダクト・デベロップメント・チーフであるイアン・ミナルズは「V12ヴァンテージの魅力を広げ、より高いパフォーマンスと興奮をを与え、且つユーザビリティを増したモデル」とコメントしている。

「私は、いままでにV12ヴァンテージをドライブし、そのモデルを嫌いだと言った人にあったことはない。しかし、その言葉が、すべてが好きだといった意味でないことは分かっていた。そこで、よりアピールするためにV12ヴァンテージSを製作した。」

このV12ヴァンテージSの大きな特徴は、ノーマル、スポーツ、トラックという3つのドライビング・モードを持つことだ。そのモードの切替によって、ダンパーの固さ、スロットル・レスポンス、ギアシフト・スピートとタイミング、エグゾースト・ノート、ステアリング・アシストが変化する。

ノーマル・モードでは、ミナルズが言うにはV12ヴァンテージSはV8ヴァンテージSよりも使いやすいクルマとなる。スポーツ・モードでは、V12ヴァンテージSの登場で消えていくV12ヴァンテージのダイナミックな特性にも似たフィーリングとなる。そして、トラック・モードでは、サスペンションは最も固くなり、最も速いアストン・マーティンが姿を表わすことになる。

V12ヴァンテージSに搭載されるのは、AM28というコードネームの与えられた第5世代のナチュラル・アスピレーションの5.9ℓV12だ。これはヴァンキッシュDB9ラピードSに搭載された第4世代のAM11を更に改良したエンジンで、その最も大きな違いはボッシュのエンジン・マネジメント・システムにある。

エンジン・パワーは、V12ヴァンテージよりも55bhp大きい565bhp。トルクは5.1kg-mアップした63.2kg-m/5750rpmだ。そのトルクは1000rpmでも52kg-mという分厚いトルク・カーブを持つ。

トランスミッションは2ペダルの7速オートメーテド・マニュアルで、高いトップスピードを狙ってファイナル・ドライブ・レシオは高められている。そのギアチェンジはステアリングに取り付けられたパドルで行う。スピードシフトIIIと名づけられたこのギアボックスの導入によって、3ペダルの6速ギアボックスは姿を消すこととなる。2ペダルは北米や中国では特に受け入れられることになろう。更に、このグラツィアーノ製の7速は、従来の6速ギアボックスよりも25kg軽いのだ。

そのパフォーマンスは明らかにされていないが、0-100km/hは4.0秒を切り、トップスピードは330km/hという数字は確実だ。One-77のようなリミテッド・モデルを除けば、間違いなくアストン・マーティン最速のモデルだ。

燃費とエミッションは、エンジンの改善と軽量化、そして新しいギアボックスによりV12ヴァンテージよりは改良されているという。そのボディウエイトは1665kg。ギアボックスが25kg軽くなったが、その他の装備で10kg太り、合計ではV12ヴァンテージよりも15kg少ない数値だ。

ビルシュタイン製のダンパーは3ステージに調整が可能だ。これはヴァンテージ・モデル初の採用となる。スプリングのレートはヴァンキッシュから引き継がれたものだ。「高速性能のため、低速での乗り心地を失う必要はない。」とミナルズは言う。

サーボトロニック・ステアリング・システムは、2レベルのアシストが用意され、それぞれダンパー・セッティングにリンクする。スポーツとトラック・モードではアシストが重くなる。

ブレーキはブレンボのカーボン・セラミック。完全にオフすることができる2ステージ・ダイナミック・スタビリティ・コントロールが装備され、より小さく軽いエグゾーストが付けられる。

ホイールは新しい10スポークのライトウエイト・タイプで、合計で3.3kg軽い。また、これに組合わせられるタイヤはピレリPゼロ・コルサで、オールウェザー・タイプのPゼロはノーコスト・オプションとなる。

エクステリアでは先述の通り、新しいフロント・グリルがその特徴。また、カーボンファイバー製のサイド・ストレーク、ルーフとトランクをブラックにペイントするオプションのグラフィック、そしてより広くなったリア・バンパーなどもV12ヴァンテージS独自の装備だ。

インテリアは、より高品質のカーボンファイバーとアルカンタラによって形成され、軽量スポーツシートも選択可能。

価格はV12ヴァンテージの£136,085(2090万円)よりも確実に高くなることは確かだが、まだ正式な発表はない。デリバリーは今年の終わりになる予定だ。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事