比較試乗 半世紀前のイタリア製スパイダー アルファ vs フィアット 乗って帰るなら?
公開 : 2019.06.17 17:10
いずれも運転が楽しめる
その点こそアルファ・ロメオを読み解くキーポイントなのかもしれない。このアルファに在り来たりな点はほとんどないのだ。フロアヒンジ式のペダル、不思議な角度で突き出る長いシフトレバー、ステアリングの可憐なホーンと、このスパイダーはどこまでも特別なのだ。ゴム製のフロアマットは実用的に見えるが、アルファは明白な矛盾をスタイリッシュな自信で取り繕うことができる。イタリア人の絶妙なセンスの好例がこのモデルなのだ。
フィアットよりもミッションが滑らかなだけでなく、走りも見事だ。筆者の感覚では、フィアットにあるスポーツ性が少し欠けるが、ブレーキの効きは良い(いずれのクルマも四輪ディスクブレーキ)。アルファは車内が狭いものの着座位置が高いため、本格的に走るとフィアットよりロールと慣性を感じる。
今回のアルファは極めて程度が良く、オリジナルであるうえ、未レストアの走行距離4万1000マイル(6万6000km)という個体だ。最近リビルドした124のようにきびきびと走ることを期待するのは不公平であろう。それでも2台を比較すると、ハンドリングの点ではフィアットに軍配が上がる。純粋な性能面でわずかに劣っているというのが一般的な評価だ。いずれも運転が楽しいクルマであるが、所有する分にはどうだろうか。
「わたしならS2の方です」と、クラシック・アルファ社のリチャード・ノリスは説明する。「現在の相場であれば、S2は本当に良い買い物です。スタイリッシュですし、スピードも出ますから。左ハンドルが気にならなければ、右ハンドルより20%安い点もオススメです。デュエットなら4万5000ポンド(580万円)するところが、右ハンドルなら上玉でも2万ポンド(260万円)で見つかります。しかも、2000エンジンはトルクがあり、バンパーがラウンドテール仕様のものより安全性能が高いです」