「中国のイーロン・マスク」 Nio社CEOインタビュー 新たなユーザー体験重視

公開 : 2019.06.08 09:50

顧客とのコミュニティー 謙虚なCEO

電動化と自動運転に巨額の投資を進める一方、Nioの独創的なアプローチは顧客との繋がりにおいても発揮されている。

新車販売と、顧客とのコミュニティー作りを担っているNio独自のアプリであり、ポイント式のリワードプログラムが組み込まれている。さらに、ショールームを兼ねた、Nioハウスと呼ばれる瀟洒なメンバーズクラブが続々と建設されており、まるで、テスラかAppleと、スターバックスを組み合わせたような空間となっている。さらに、Nioハウスでは、ミニカーから、ハイエンドなファッションやホームウェアデザイナーとのコラボレーション商品など、さまざまなアイテムの販売まで行われている。

それでも、バッテリー充電サービスに加え、バッテリー交換可能なステーションネットワークを創り出したNioパワー・ディビジョンに言及しない訳にはいかないだろう。Nioには注目すべき点が数多く存在しているのだ。

では、どこから始めればいいだろう?


英国版Autocarでは、最近、最新鋭の生産工場やいくつかのNioハウスを含め、中国国内にあるNioの拠点を訪れているが、最初に紹介すべきは、上海郊外に広がる自動車関連企業が集まる工場地帯の一角に建つ、煌びやかさとは無縁な、何処にでもあるような飾り気のない本社ビルの、静まり返ったオフィスだろう。ここで、Nioの創業者でありCEOを務めるウィリアム・リーと会うことになっているのだ。

リーのような起業家がいるような場所とは思えないオフィスだ。数々の企業を創業してきた彼は、技術志向のスタートアップに投資するだけの財産を築くことに成功したお陰で、「中国のイーロン・マスク」と呼ばれることになった。だが、テスラとの比較は誤解を招くことになる。さらに、リーのリラックスしながらも、礼儀正しく控え目な態度は、Nioの野心的ともいえる急成長には、凡そ似つかわしくないものに思えた。

テスラのCEOとは違い、リーはまったく自動車業界のアウトサイダーというわけではない。これまでの彼の業績のなかで最大のものは、中国の自動車メディアとして、中古車市場も運営するBitautoであり、彼曰く、「自動車業界ではインターネット企業と呼ばれ、インターネット業界では、自動車関連企業と見做されています」とのことだ。

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