マセラティ・クアトロポルテS
公開 : 2013.05.30 19:00 更新 : 2017.05.29 19:12
■どんなクルマ?
第6世代のマセラティ・クアトロポルテの、ラウンチ・ラインナップは、この3.0ℓのV6を搭載するクアトロポルテSの追加で完成した。このクアトロポルテSは、3.8ℓV8を搭載するGTSよりも£28,065(430万円)安く、英国ではGTSよりも多くの販売が見込まれる。
クアトロポルテSは、119bhpほどGTSよりもパワーは低いが、115kg軽い。また、その404bhpというパワーは必要にして充分と推測されるし、事実、0-100km/h加速が5.1秒、最高速度285km/hというパフォーマンスを持っている。
V6はV8が20インチ・ホイールを履くのに対し19インチ。また、パドル・シフト(オプションで£708:10.8万円)や光沢のあるキャビンのトリム(オプションで£660:10万円)は標準では装備されない。また、外観上もテールパイプが、V8が四角いクアッド・タイプであるのに対し、V6は標準的な丸いタイプになっている。それでも、エンジンの2本にシリンダーがないことに対して、正当な価格が付けられているといって良いだろう。
クアトロポルテSも充分すぎるほど贅沢な装備がされている。エーカー製の本革シート、充分なリア・スペース、適切なタッチ・スクリーン・インターフェイス、キセノン・ライト、リア・ビュー・カメラ、マセラティ・スカイフック・アダプティブ・ダンパーなどだ。
以前、われわれはXJスーパースポーツLWBとクアトロポルテGTSの比較を行った。そして、その結果、クアトロポルテは速く機敏ではあるが、快適さに於いてはやや劣るという結論を導き出した記憶がある。マセラティのエンジニアは、スカイフック・ダンパーのセッティングにおいて、GTSとSという重さの異なる2台のクアトロポルテに、同じようなキャラクターを求めた。確かにSは多くの道でスムーズで、凹凸も上手く受け流し、長いうねりも気持ちよくクリアするものだった。しかし、小さくウェーブした路面では、すこしバタバタする感じがあったことは否めない事実だ。
V6エンジンとV8エンジンは密接な関係性がある。共にマラネロのマセラティ・デザイン製のツインターボで、ダイレクト・イグニッションを持つ。但し、V6のほうが低回転型で、ピーク・トルクは1750rpmから発揮する。燃費は、V8よりも13%良い10.2km/ℓだ。
■どんな感じ?
V6エンジンはV8エンジンと較べるとシンフォニックではなく、ある回転域においては不協和音を奏でる。共に、スポーツ・モードをオフにすればエンジンは静かになるのだが、そのレベルは本当に静かとは言いづらいレベルのものだ。
スポーツ・モードになると、迅速なシフトアップが望める。しかしシフトダウンはそれほど素早くない。また、ノーマル・モードおよび経済性とロー・トラクションを両立したアイス・モードでは、ギアボックスはスムーズで頻繁にシフトを繰り返す。
スポーツ・モードでは、スカイフックがボディ・コントロールを強化し、4000rpmから6000rpmというスイート・スポットを使いながら、安心且つ素早いコーナリングをもたらす。グリップ・レベルも高く、充分に速い。
■「買い」か?
例えば若干の可動部分などはドイツ車のクオリティに負けるかもしれないが、全体的なフィット、フィニッシュ、そしてエルゴノミクスに関しては同じマセラティのクーペやカブリオよりも良い。ほんの少し視界が悪いグラスハウスではあるが、その室内は豪華で快適なスペースだ。
クアトロポルテSは、本物の堂々としたスプリンターだ。英国でのテストが楽しみな1台でもある。
(リチャード・ウェーバー)
マセラティ・クアトロポルテS
価格 | £80,095(1,222万円) |
最高速度 | 285km/h |
0-100km/h加速 | 5.1秒 |
燃費 | 10.2km/ℓ |
CO2排出量 | 244g/km |
乾燥重量 | 1860kg |
エンジン | V型6気筒2979ccツインターボ |
最高出力 | 404bhp/5500rpm |
最大トルク | 56.0kg-m/1750-5000rpm |
ギアボックス | 8速オートマティック |