詳細解説 ゴードン・マーレー「最後のアナログ・スーパーカー」開発 約3.4億円

公開 : 2019.06.06 20:10  更新 : 2021.03.05 21:29

エンジンとトランスミッション

T.50の3.9ℓエンジンは、V12としては極めて小さくて軽い。マーレーの説明によると、それは非常に高回転型でもあり、レッドゾーンは1万2100rpm、許容回転数は1万2400rpmになるという。

そのパワーは、1993年のマクラーレンF1が搭載していた6.1ℓV12エンジンをわずかに凌ぐ。内部構造に関する詳細は今のところまだ秘密にされているが、マーレーは「すべてがチタン製」と言っていた。

エンジンのフレキシビリティとトルク(47.2kg-m)については「まったく問題ない」とのこと。このエンジンには可変バルブタイミング機構が搭載されており、ドライバーはエンジンのマッピングを高回転と低回転で切り替えることができる。そのため、渋滞時でもサーキットでも対応できるのだ。また、マーレーは「車重980kgなら、もっと重いクルマほどトルクは必要としない」と付け加えた。

Xトラック製の6速マニュアル・ギアボックスは、T.50の中でおそらく唯一、先進的とは言えない部分だ。これを選択した理由は、「秘密の名簿」に掲載されている潜在顧客からのリクエストで、彼らがスティックシフトによる「運転への関与」を好むからだという。これはマーレー自身の好みとも適合する。

エアロダイナミクス

T.50で最も目を引く特徴は、直径400mmの電動ファンだ。これは車体下面にダウンフォースを発生させ、安定性とコーナリング性能を高める。文字通り、クルマを路面に吸い付かせるのだ。

マーレーはこの機能について「アクティブでインタラクティブ」と表現している。つまり、走行状況に応じて自動的に機能するとともに、ドライバーがコントロールすることもできる。濡れた路面では最大のダウンフォースを作り出し、超高速巡行時には空気抵抗を最少化する。そしてその間で無段階に可変する。直線では空気抵抗を減らし、コーナーではダウンフォースを高めることもできる。

もう1つの重要な特長として、マーレーはこのクルマが可能な限りシンプルにデザインされた純粋性を維持していることを挙げている。「醜いウイング、ダクト、ベント、バルジ」で覆われた既存のスーパーカーとは異なるということだ。

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