バットモービル BMW CSL 169台のキャブレター仕様 M社を象徴するクーペ
公開 : 2019.06.09 11:50 更新 : 2020.12.08 10:40
181kgダイエットした1165kgのCSL
一方で量産モデルでは、2800CSからカルマン社が製造を請け負った3.0CSに置き換わっていたのだが、軽量版モデルの計画をBMWは密かに進行していた。チューニングメーカーの要望に、BMWは耳を傾けていたのだ。これこそ、ヨーロッパ・ツーリングカー選手権のグループ2参戦を目的に、ホモロゲーション獲得として1000台が生み出された、3.0CSの軽量版となる3.0CSL。実は、英国市場向けに作られた右ハンドル車もあり、その数は500台だった。
BMWはレーシングドライバーのヨッヘン・ニーアパッシュをトップに据えた、モータースポーツ部門の立ち上げも進めていた。彼はフォード・カプリのサーキットでの活躍を支えた人物で、BMWのセールス部門チーフ、ボブ・ルッツによって引き抜かれてきた。1000台の軽量版3.0CSLの製造を約束した上で、移籍に同意したそうだ。
公道版のCSLが初めてわれわれの目前に表れたのは1971年のジュネーブ・モーターショー。標準のCSより181kgも軽量で、車重は1165kgと発表された。ドアやボンネットなど、可動部分のボディパネルはすべてアルミニウムに置き換えられ、フロントノーズやルーフなど、ボディ構造をなすスチール部分も軽量化のために厚みが削られていた。
軽量化のための対策は他にも施されており、リアのサイドウインドウはアクリル製で、フロントとリアガラスはより薄いラミネートガラスを採用。フロントバンパーは備わらず、リアバンパーはポリエステル樹脂の成形品で、重量はわずか2.5kg足らず。
車内への防音材は削られ、フロアカーペットも薄いものになり、防錆処理も薄膜化された。もっとも、カルマン製のボディは全般的に防錆処理が充分ではなかったけれど。またボンネットとトランクのラッチ部分も、軽量化のために省かれるという徹底ぶり。ボンネットの固定には、クロームメッキ仕上げのレーシーなボンネットピンが用いられている。
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