急発進事故 なぜプリウスが目立つのか 解決策ある? マニュアル車も視野に

公開 : 2019.06.07 19:10  更新 : 2021.10.22 10:18

なぜこんなにもプリウス「だらけ」なのか

トヨタの車種構成を見ると、高齢のユーザーに人気の高いミドルサイズセダンのプレミオ&アリオンは、発売から12年を経過して設計が古くなった。マークXも10年近くを経て、2019年の末に生産を終える。いずれも売れ行きが下がった。

そうなると子育てを終えた高齢のユーザーが、落ち着いた雰囲気のミドルサイズカーをトヨタ車から選ぶと、必然的にプリウスへ行き着く。

販売台数の多いクルマだから安心感があり、ハイブリッド車の代表とあって認知度も高い。低燃費だからガソリン代も安く、価格は250万円前後だからミドルサイズのハイブリッド車では求めやすい。これらの理由により、プリウスは高齢者からも積極的に選ばれている。

ちなみに先代型の3代目プリウスは、国内の登録台数が累計112万台に達した。2代目の累計40万台に比べると、3倍近く売れた。そのためにプリウスは保有台数も多く、街中で頻繁に見かけられ、交通事故の当事者になることも多い。

万人にとって操作しやすいことも大切

またプリウスのATレバーは個性的で、シフトされているのがD(ドライブ)レンジでも、R(リバース/後退)レンジでも、レバーは常に中立の位置にある。

操作しにくく感じることもあるが、このレバー形状は、2003年に発売された2世代前の2代目プリウスから採用されている。最近になって頻発する急発進事故や暴走事故の直接的な原因とするのは早計だ。

ただし一連の交通事故から離れた一般論としていえば、クルマの基本的な操作系やメーター類は、万人にとってわかりやすく見やすい方が好ましい。

トヨタスープラは日本車なのに方向指示機レバーが左側に装着され、設計の新しい日産車のハンドルは、直進状態で下側が平らになるD字型だ(ただしデイズは馴染みにくいために非採用)。

各操作系の配置やデザインによって運転中に違和感が生じると、集中力が削がれ、車両の周囲に潜む危険を発見するのが遅れたりする。

デザインの自由度を束縛すると、車両の進化を滞らせるから判断が難しいが、基本操作に違和感を生じさせない配慮は大切だ。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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