VWグループ会長 ヘルベルト・ディース 1年越しの独占インタビュー 電動化の立役者

公開 : 2019.06.16 11:50

自動車の未来 政策が左右

自動車の未来についても質問してみた。電動モデルと内燃機関モデルとの間で主導権争いが生まれるのだろうか? 自動車メーカーが将来を決めることになるのだろうか?

自動車メーカーが将来を決めることにはならないと、ディースは主張する。さまざまなシナリオが考えられるが、なかでも政府によるインセンティブが大きく影響するという。

「もし、米国政府が1台当たり7500ドルもの補助金を支出していなければ、テスラが現在のポジションを築くことはできなかったでしょう」とディースは言う。

「ノルウェイもEVに対する優遇税制がなければ、現在のような状況になっていません。しかし、結局のところ、適正な利益を確保しながら、EVを創り出すことに成功したメーカーが最後に生き残るのであり、われわれにはそのチャンスがあると思っています」


将来の新車販売について、2021年までには欧州新車市場の5%から6%がEVになると、ディースは見込んでいる。さらに、2025年までに20%、2030年までには30%から40%に達するというが、これは非常に大きな変化だ。

この結果、エンジン工場の閉鎖が避けられなくなることを、どう感じているのか質問してみた。「今後10年で、エンジンとギアボックス工場の約半分を閉鎖する必要に迫られます」と彼は言う。

「ですが、その代わりにバッテリーの生産規模を大幅に増やすことになります。2023年か2024年までに必要となるバッテリーの生産能力は確保できたと思いますが、さらなる能力増強は不可欠です。これは非常に大きな課題となっています。アウディeトロン発売直後のいま、生産のボトルネックとなっているのがバッテリーであり、この状況はしばらく続く見込みです」

エンジン生産が続くのであれば、ディーゼルを廃止すべき時期はいつになるのだろう?

「まだです」と、フォルクスワーゲングループ会長は慎重に言葉を選びながら答えている。「いまも、ディーゼルは長距離を高速移動する大型モデルには、最適なソリューションとなっています。さらに、もっとも燃費性能に優れ、環境負荷も小さく、CO2排出量に関しては優等生と言える存在です。何と言っても、2025年時点では、依然として新車の80%が内燃機関を積んでいるのです」

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