いつまでもクレイジーな4台 ケータハム・セブン比較試乗 後編

公開 : 2019.06.28 18:10

同じ仕様は2台とない

実際にはそんなに速いわけではないのだが、大切なのは数値ではない。小は大を兼ねる。160は小さな宝石のようなクルマなのだ。自然と神(チャプマン)が望んだように、素晴らしく楽しいクルマである。クルマのことをあまり知らない人も、細身のスティールボディのデリケートな佇まいを見てきっと喜ぶだろう。これ以上何が必要だというのだろうか。

シトロエン2CVランドローバーのように規制のために消え去るまで、ケータハム・セブンはどのくらい持ち堪えられるだろう。同社モータースポーツおよび技術担当最高責任者サイモン・ランバートはこういう。「排ガス規制を守っている限り、公道を走れなくなる可能性は皆無です。ただ、注意しないとどんどん重くなってしまうのですから」……エリーゼのことを考えればわかるだろう。

「周りからは『もってあと5年から10年だ』とよく言われましたが、わたしがケータハムに入社してすでに16年です。そのさらに10年前からこのクルマは販売されていました。実際、近頃では法律改正のお陰で、アメリカへの輸出を開始できるかもしれないのです」

年産500台で、これまでに約1万6000台のケータハム・セブンが製造された。100台集まっても同じクルマは2台とない、とよくいうが、今回の4台でもそれは同じだ。ケータハムは、160によって帽子の中から新しいウサギを取り出せることを示した。チャプマンのコンセプトは今でも生きているのだ。実際どのモデルでもセブンが自分のものになれば、のめり込まずにいられなくなる。

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