フォード・シエラ・コスワース モンスターマシンのレシピ 当時のエンジニア訪問
公開 : 2019.06.23 07:50
理想通りのラリーカーに
その次に着手したのが4WDシステムだった。「他社と緊密に協力して、4WDのカプリの開発に既に取り組んでいました。SVEがまだコスワースを完成させる前に、ボブ・ルッツは、アウディ・クワトロに対抗するための4WDかつ3ドアのシエラのコンセプトカーを製作したいと考えていたんですね」
プレスカーとしてフランクフルトショーのフォードのブースに展示しなければならなかったのだが、納期の厳しいプロジェクトだった。「プロトタイプであったから、これまでよりもかさばるドライブトレインを設置するために思い切ってボディシェルを切断したりしましたよ。やっつけ仕事ですね」
果たしてRSコスワースは、スチュアート・ターナーの求めていたラリーカーとなった。1987年だけで26の国際ラリーと六つの全国選手権で優勝したのだから、反論の余地はないだろう。
マンスフィールドがRSコスワースに再度取り組むとしたら、何に手を加えるのだろうか?「かつての基本方針を守るならば、やはり多額の費用がかかるような変更はできないと思いますね」と彼は答える。「お客様は、廉価モデルと差別化できるようなインテリアを求めるかもしれませんが、やはり大切なのはコストと時間です。もしお客様の意見をすべて受け入れるならば、少数の限定生産モデルにならざるを得ないでしょうね」
彼は一息つき、もうひとつ付け加えた。「変更したい点がもうひとつありました。強力なイモビライザーを標準装備にするでしょうね。RSコスワースは、あまりに盗まれ易いクルマでしたから」冗談にも余念がない。