ホイールサイズと乗り心地 DS 7/ミニ・クーパーで関係探る インチアップは慎重に

公開 : 2019.06.23 09:50  更新 : 2021.03.05 21:42

矛盾の塊 事態は複雑

一方のDS 7は矛盾の塊だった。このクルマのしなやかなセッティングは、減速帯や坂の頂点を通過するようなシーンでは、一見快適な乗り心地に感じさせるが、英国で多く見られる、荒れた路面に遭遇すると、サスペンションはホイールを上手くコントロールできず、市街地であっても、大きな路面不整ではシャシーが震える様子が明らかであり、例え、それなりのスピードを出していても、激しいショックが伝わってくる。

さらに、中速コーナーの路面にある大きな穴でも、このプレミアムSUVは簡単に安定を失ってしまうのだ(それでも、わたしが日常的に走らせている19インチホイールを履いたDS 7であれば、今回よりも優れた乗り心地を見せることはお伝えしておくべきだろう)。

では、なぜ大径ホイールが問題となるのだろう? かつて、ジャガーランドローバーで車両ダイナミクスの責任者を務め、現在では、VEDynamicsという車両ダイナミクス性能の開発サポートを行う会社を率いるデビッド・プークに話を聞いてみた。

「ひとつには、バネ下重量の変化があげられます」と彼は言う。「22インチのホイールとタイヤであれば、その重量は40kg以上にも達します。40kgもの物体が路面の突起や大きな穴とぶつかる様子を想像してみて下さい。どれほどのエネルギーが発生し、それがボディへと伝わるかをです。そして、最終的にはそのエネルギーを上手く吸収しなければならないのです」

あまり科学的な方法とは言えないが、実際にそれぞれのバネ下重量を体重計で測定してみたところ、ミニで約14kg、DS 7では、ほぼその2倍に達する26kgというものだった。

DS 7の車両重量はミニを235kg上回るに過ぎず、つまりは、このプレミアムSUVが持つ過大なバネ下重量が、吸収すべきダンピング量と相まって、乗り心地に大きな影響力を及ぼす結果になっているのだ。

それでも、プークは大径ホイールだけが原因ではないと言う。「原因は、タイヤ強度や重量配分といった、個別の問題ではなく、さまざまな要素が関連しています」と、彼は話している。

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