ロードテスト トヨタ・カローラ ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.06.22 09:50 更新 : 2021.01.28 16:58
走り ★★★★★★★☆☆☆
このトヨタの手頃なパフォーマンスハイブリッドを走らせてみると、いくつかの面で不自然なくらい、むしろいらだたしいと表現する向きもあるだろうくらい、いつも通りだ。しかしそれ以外の部分は、この日本最大の自動車メーカーがハイブリッド・シナジー・ドライブと呼ぶコンセプトに断固としてこだわりながら、20年にわたりアップデートを重ね、走りを飛躍的に改善したことの動かぬ証拠でもある。
都市部や高速道路の渋滞をゆっくり進むのに最高なのは相変わらずだが、このカローラはフルスロットルでもほかのあらゆるトヨタ製ハイブリッドを思い起こさせる。たやすくピークパワーまで回し、遊星ギアでそれを補うことで、CVTのような動きを模しているシステムだ。しかし、パフォーマンスハイブリッドを名乗るこれは、パートスロットルにおいて、急激な加速ができる点と、レスポンスよく感じられる点で、これまでのトヨタの基準とは異なっている。どちらも、乗っていて速く感じるといってもほめすぎではない。このカローラは右のペダルを踏み込めば、少なくともスポーツモードでは熱いスタートダッシュを見せ、それも青天井にエンジン回転を上げることなくできてしまう。
トヨタのハイブリッドの常で、最大出力でも動き出しはゆったりしているが、97km/hには8.5秒で到達し、48〜113km/h加速は7.7秒。ワゴンモデルでこれに近いタイムは、ややホットな160psのディーゼルユニットを積んだ、アストラ1.6CDTIビターボ・エステートが2016年のテストでマークしている。7.7秒で97km/hに達するフォルクスワーゲン・ゴルフGTEあたりと比べれば、ガソリンハイブリッドとして特別高いレベルではないが、それほど大きくかけ離れているわけでもない。お伝えすべき最大の進歩は、実に活発でエネルギッシュに感じられ、これまでのトヨタのハイブリッドなら夢にも思わなかったような熱中できるドライビングスタイルを期待させるほどになったということだ。
もちろん、そんなカローラのパフォーマンスに興味を刺激されて、さらに攻めた走りを試みれば、すぐに限界にぶつかることになる。トランスミッションは、パドルシフトの感触が貧相なうえに、負荷が大きいときの変速は不明瞭で遅れがある。手動変速では、Dレンジに入れているときよりもう少し、エンジン回転と速度が伴って上がるようになる。
しかし、マニュアルモードを使わなければ、つかの間ながらこのクルマの手綱を解き放つスリルを味わうことができる。それは間違いなく、トヨタのハイブリッドのステレオタイプなパフォーマンスとは様相の違うものだ。残念なのは、それを楽しもうにも、パワートレインのキャパシティが立ち上がるやいなや終わりがやってくることである。
テストコース
このカローラのシャシーは、ヒルルートを楽にこなしてみせ、開発にどれほどの労力が注ぎ込まれたかを教えてくれる。そのハンドリングは十分すぎるグリップと正確さを備え、一貫して良好なボディコントロールとも相まって、あらゆるレスポンスに揺るぎないリニアさや予測しやすさがあり、飛ばしても運転しやすい。
ステアリングの手応えと速さはちょうどよく、絶妙なセッティングのサスペンションとバランスのいいグリップレベルもあって、外輪側にどれほど荷重がかかっているか、また前輪にどれほど負荷をかけているかがはっきりわかる。どちらも多くの反応が返ってくるが、ハンドリングはナチュラルで、乗り心地との折り合いもつけられている。飛ばした際にはダイナミクスの一貫性がはっきり感じられ、そうした諸々がこのクルマを感銘深いものにしている。
どんなときも、このカローラのシャシーはさらなるパワーにも対応できるように感じるが、このハイブリッドシステムが上り勾配で苦戦することはない。
T2のようなタイトコーナーへ、それなりのペースで突っ込んでみると、ロールとステアリングのレスポンスとのレートはとても巧みに釣り合いがとられている。
T3やT5のようなスピードの乗るコーナーでも、ボディコントロールは張りつめていて一定に感じられる。
発進加速
テストトラック条件:乾燥路面/気温9℃
0-402m発進加速:16.6秒(到達速度:140.5km/h)
0-1000m発進加速:29.9秒(到達速度:177.5km/h)
ヴォグゾール・アストラ1.6CDTI 160ビターボ・スポーツツアラーSRiナビ(2016年)
テストトラック条件:乾燥路面/気温10℃
0-402m発進加速:16.5秒(到達速度:141.6km/h)
0-1000m発進加速:29.7秒(到達速度:180.9km/h)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温9℃
97-0km/h制動時間:2.84秒
ヴォグゾール・アストラ1.6CDTI 160ビターボ・スポーツツアラーSRiナビ(2016年)
テスト条件:乾燥路面/気温10℃