廃車と引き換え、新車に助成金 スクラップ・インセンティブ 英自動車業界を救った制度

公開 : 2019.06.23 11:50  更新 : 2019.06.23 12:29

ヒュンダイの素早い対応

パーフィットはこのシステムで不正が行われないよう細心の注意を払った。スクラップされる車両に車検が残っており、12カ月以上にわたってそのひとに所有され、さらに廃車証明書により再登録ができない状態であることを確認するというものだ。

すぐに対応に取り掛かったメーカーのひとつはヒュンダイだ。当時同社を率いていたトニー・ホワイトホーンは、「2009年初頭の時点でこの制度の導入の可能性を耳にし、ドイツ人の同僚にアドバイスを求めました。その結果、在庫車を抱える必要があるとわかりました。そこでわたしはリスクを覚悟の上で月に1000台ずつ、計7000台のi10を注文しました」と説明した。

このインセンティブ制度がアナウンスされたとき、彼はすでに準備が完了していた。「われわれは想定される施策の内容に合わせて、価格表やプレスリリースなどをすべて準備しておきました。メディアや顧客は情報を求めていましたが、ライバル各社は準備ができておらずインタビューを断っている状態でした。一方われわれはすぐに広報をすることができました」

ヒュンダイの戦略は、このインセンティブの利用によりi10クラシックを4995ポンド(68万円)で販売するというものだ。リースではわずか月額85ポンド(1万2000円)からだ。最初の船積み分はその船が到着する前に完売した。2009年末までに、同社は2008年の実績の2倍以上となる3万9000台を売り上げた。マンデルソンの予想は正しかったということだ。

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