MGの救世主になり損ねたスポーツカー EX234開発計画 もし実現していたなら
公開 : 2019.06.22 09:50
後継車としてのEX234
MG-Bとミジェットは良く知られているが、このEX234の存在は謎に包まれている。EXはエクスペリメンタル、つまり実験を意味し、このEX234は1960年代半ばに1台だけ製造された。
BMCのお気に入りコーチビルダー、ピニンファリーナがデザインしたスティールとアルミニウムの未来志向のボディには、自動車業界を制覇し、MGを新時代に導いたであろう興味深いさまざまな技術が秘められている。MG-Bやミジェットの発売からEX234の開発までわずか数年だが、その間に確実に時代が移り変わっていたのだ。
もちろんMG-Bとミジェットが発表された1960年代初めにも、MGの技術者たちはライブアクスルとリーフスプリングが急速に過去の物になりつつあるのを知っていた。MG-Bは当初、リアにコイルスプリングを採用した現在の量産モデルよりも洗練されたクルマとして開発される筈だった。
また1962年10月には、流体バネを用いたミジェットの開発が真剣に検討されていた。このふたつのプロジェクト(EX229とEX231)はそれぞれ1962年と63年に進められたが、検討の結果、いずれのプロジェクトもそのまま放置された。
MGはMG-Bへの独立懸架の導入を検討してはいたが、より洗練された駆動装置をMG-Bに導入するよりは、ニューモデルを設計した方が良いという結論にすぐに達した。排気量の異なる各種エンジンの搭載を検討した結果、MG-Bとミジェット両方の後継モデルとしてEX234を開発するプランが急浮上した。