MGの救世主になり損ねたスポーツカー EX234開発計画 もし実現していたなら
公開 : 2019.06.22 09:50
廃車を免れたEX234
このクルマがまだ生きているとわたしがいうと、誰もが皆驚いた。このクルマが生き残っていたのは、ほかならぬ当時のMGのボス、ジョン・ソーンリーとMGのエンスーでディーラーのシド・ビアの先見の明のお陰だ。
ビアはそれまで長年にわたってMGと密接な繋がりを持ち、オールドナンバーワンやEX135、EX179、最高速度を達成したEX181、18/80やNタイプを含め、MGの歴史に残るクルマを探し続けてきた。これらのクルマが現存しているのは、ビアがケンブリッジシャーにある会社の敷地に保管してくれていたお陰だ。彼はまた、不運だったMG-Cの量産前のテストやソーンリーが所有していたB GT「MG1」の再組立にも関わっている。
ビアは何年も前から、BM博物館を建てるという夢を抱いていた。そのためEX234の解体が計画された時にも、ソーンリーが介入して、このプロトタイプを友人のビアに託した。残念なことにBM博物館は実現しなかったが、このため、EX234は廃車となる運命を免れることができた。
ビアの息子のマルコムはこう話す。「1970年代には、父はこのクルマに乗って何度かMGのイベントに参加しました。でも結局スペースがないため、過去15年か20年間、倉庫に放置されていたのです」