デザイナー、イアン・カラム ジャガー新時代の立役者 惜別の独占インタビュー

公開 : 2019.06.22 18:50

番外編3:カラムが選ぶ ジャガーのスター

2006年 XK


「フロントエンドを引き上げ、引き締まったボディラインを与えることが重要だったために、エッジを用いたデザインを採用しています。経営陣と米国のディーラーからは酷評されましたが、いまでも謝罪されることがあります。わたしにとってはジャガー初のモデルであり、ジャガーの役員からも注目されていたので、ナーバスになっていました。それでも、なんとか上手くいったようです」

2008年 XF


カラムの大いなる革新であり、このSタイプの後継モデルは、ライオンズ時代からの使い古されたデザインを刷新することとなった。2世代分の飛躍を遂げつつ、スポーティなキャラクターを維持することを意図したデザイン(「高さのあるデザインでは実現できなかったので、クーペ風のシェイプを採用しています」)であり、華やかさを失った2015年登場の2代目モデルは、初代ほどの人気を博すことはできなかった。

2010年 XJ


先代のアルミニウム製ボディを持つXJは大人しすぎたと感じたカラムは、彼が「反抗的なエッジ」と呼ぶデザインをこのモデルに与えている。XJでもっとも議論を呼んだのは、その縦型テールライトかも知れないが、その他、多くのデザイン要素(例えば巨大なグリルのようなものだ)でも、大きな飛躍を遂げている。

このクルマには、リーバ・フープと呼ばれるレイヤー状のダッシュボードが室内を取り囲んだ、美しいインテリアが組み合わされていた。

2012年 C-X75


ジャガー設立75周年を記念して、「進歩し続けるアート作品」として誕生したモデルであり、そのパワープラントには、ハイブリッドタービンが採用されていたが、すぐに高出力を誇る1.6ℓ4気筒エンジンと電気モーターの組み合わせに変更されている。

非常に好評を博し、量産化も検討されたが、結局その計画が実現することはなかった。

それでも、2015年公開の007映画「スペクター」用として、ごく少数が生産されている。

2014年 Fタイプ


タタ傘下となった直後、スポーツカーのアイデアを気に入ったタタ会長、ラタン・タタの後押しを受け、この2シーターモデルは登場している。コンバーチブルボディから導入されたのは、マーケティング部門の「コンバーチブルのほうが人気が高い」との助言を受けてのものだったが、1年後にクーペが登場すると、こちらのほうが人気モデルとなっている。

いま、カラムはエンジン搭載位置をより低く、さらに後退させることは出来ないだろうかと考えているようだ。

2015年 XE


BMW 3シリーズのライバルとなるべく、この美しいスモールジャガーは登場しているが、その見事なメカニカルスペックと均整のとれたプロポーションにもかかわらず、大成功したとは言い難い。

XFといった、他のジャガー製モデルを小さくしたようなスタイリングを批判されたことで、いまではカラムもこのアプローチを採用したことを後悔しており、最新のXEにはより独自性を発揮するルックスが与えられている。

2016年 Fペイス


SUVだったが故に、カラムが「デザインするとは想像もしていなかったモデル」として知られているFペイスは、力強い面構成と、そのネコ科の動物を思わせるリア廻り、そして他のジャガーとの共通性を感じさせるデザインを実現することの難しさを証明した存在だが、それでも、何度もアイデアを練り直すことで、最後には見事なスタイリングを実現している。

「もっと早くデビューさせることができたはずだと言うひともいますが、ジャガー初のSUVとして、Fタイプのようなモデルにする必要があったと信じています」と、カラムは話している。

2018年 Iペイス


気品がありながらも張りのあるラインと、独特なスタイリング(「単に完全なEVだからという理由ではありません」)によって、カラムが「特別な1台」と呼ぶモデルだ。

カラムにとっては、ジャガー最後の作品であり、他のデザイン同様、既存のコンポーネントに縛られることなく、新たな時代の幕開けを告げるモデルだと言う。

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