英国が生んだエキゾチックモデル ツインカムのMGA 60周年を祝う

公開 : 2019.06.29 07:50  更新 : 2020.12.08 10:40

ジェフ・バロン「北米仕様を右ハンドルに換装」

「このKFF 193のナンバーが付いたクルマは元はアメリカ向けのクルマでした。レストアするにもイギリスでは玉数が少なく購入したんです。1993年に手に入れて、クルマが仕上がったのは1995年。それ以来大切にしています」 と話すバロン。

「このクルマはモデルライフの途中で切り替わった1500の輸出向けボディなのですが、幸運なことに右ハンドルに換装するための部品が一式見つかったんです。本当に手に入らないものなんですよ。プッシュロッド式エンジンのモデルと比較してシャフトが長く、エンジンがフロントに押し込まれているので、注油作業も上からではできません。ニップルが下に付いているんです」

「元は白色でしたが、今まで黒のツインカムは見たことがなかったので、塗り替えました。エンジン周りはオリジナル状態に直してあります。多くの人は圧縮比を8.3:1に下げてデチューンするのですが、私はもとの9.9:1のままにしてあります。現代のガソリンだとやや気難しくはなるようですね」

「唯一オリジナルと違う部分はトランスミッション。フォードのタイプ9と呼ばれる5速マニュアルに変えてありますが、クルマにとって不利益なことはないと思います。4速のままだと、高速道路を走るだけでも回転数が高すぎてエンジンをダメにする恐れがありますから。念のため、オリジナルのトランスミッションもガレージに取ってあります。これ以上は改造するつもりもありません」

なぜバロンはMGAツインカムに傾倒するのだろうか。「プッシュロッド式のMGAも所有していましたが、全くツインカムは別のクルマなんです。プッシュロッドは穏やかで運転も簡単で、柔らかい雰囲気を持った良いクルマです。ツインカムの方はパフォーマンスの面で素晴らしいですが、それを味わうにはエンジンを高回転域まで回す必要があります。それを楽しむということは、メンテナンスの面でも気を使うことになります」

「サウンドも素晴らしいですが、プッシュロッドのMGAほど運転は簡単ではありません。シフトチェンジの頻度は多いですし、ノイズもうるさい。でも、モータースポーツを楽しみたいひとにとっては、良いクルマなんですよ」

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