英国が生んだエキゾチックモデル ツインカムのMGA 60周年を祝う

公開 : 2019.06.29 07:50  更新 : 2020.12.08 10:40

アンソニー・ビニントン「ルマン仕様のファストバック・クーペ」

珍しいファストバックスタイルのルマン・ツインカム・クーペは、スティーブ・ディクソンからの依頼で、ビニントンが面倒を見ている。「スティーブは10年ほど所有しています。英国北部に住む、MGAファンの間では有名なボブ・ウェストという人物から買ったそうです。もとは1958年にルマン出場のために作られたクルマで、フロントガラスをカットして、ロードスターにされていました。レースではコリン・エスコットがドライブ中に、ミュルザンヌの長いストレートで飛び出してきた犬にぶつかって、リタイアしてしまったんです。それまでは長時間走っていて、順位も良かったようです」

「翌年の1959年にツインカム・レーサーとして出場しようとしたものの、親会社のBMCが難色を示し、このナンバーSRX 210のクルマはテッド・ルンドのために作り変えられました。経営陣はレースへの参戦に前向きではなく、クルマはMGカークラブの車両として参戦したようです」

「ボディがファストバック・クーペに変更されるのに合わせて、エンジンは1762ccにまでボアアップされ、キャブレターはウェーバーの40 DCOEツインが装着されました。2ℓクラスに参戦したのですが戦績は良く、24時間を通しての平均速度は146km/h。ファステストラップの平均速度は160km/hだったと記録されています」

「ルンドとボブ・オルソフは、フロント周りのデザイン変更で空力面の改善をさせ、翌年も参戦しました。しかし、ミュルザンヌのストレートで225km/hで走行中にエンジンがブローしてしまい、MGAクーペはリタイアしてしまいます」

「その後も1960年代から1980年代にかけて、MGカークラブのクルマとしてレースに参加しています。ドライバーはボブ・マクロイでした。また、ルマン・クラシックのようなヒストリックイベントにも参加しているようですが、その時はエンジンは耐えたようですね」

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