ロードテスト ランボルギーニ・アヴェンタドール ★★★★★★★★☆☆
公開 : 2019.06.30 09:50 更新 : 2019.07.08 22:39
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
英国のB級道路ほど、このSVJに適さない環境を思い浮かべるのは難しい。そして、絶えずつきまとうそのとてつもないパフォーマンスの誘惑もあって、最初はまるで地獄のようなありさまだ。ドライビングポジションはコンフィデンスをもたらすものではなく、ボディサイズとそぐわぬ道では、白線までの余裕もなく身動きが取れないように思え、この先に待ち構える複雑な作業を間違いなく処理することが要求される。
しかし、やがてスピードには慣れる。また、最終的にはギア比が固定されるステアリングは、驚異的に正確なうえに、コルサモードでは軽いがコミュニケーションが豊かで、ギア比設定も絶妙だ。最初のうちはこの重いクルマを単に、減速させてコーナーへ進入し、巨体をアペックスへ送り込んでからふたたびパワーオンしようとするようなところでも、このステアリングが自信を与えてくれるので、ブレーキを残しながらコーナーへ入り、スロットルを早めに開いて、このあまりないほど長く幅広いシャシーの性格を探ってみたいと思うようになる。
すぐにわかることはひとつ。生来のスタビリティと横グリップにより、公道上ではすべてを知ることができないほど、SVJの限界は高い。真のポテンシャルに近いところをのぞかせる時間は、せいぜい数秒しか続かないので、視点は遠くに置いておいたほうがいい。とはいえ、ハンドリングは魅力的だ。サーキットでの全開走行のような、熱く走ったときと変わらぬ満足を与えてくれる。低いギアでは、コーナーの進入速度が高すぎればアンダーステアを誘発し、それを和げるのに必要なパワーはマクラーレン720Sの場合より大きいが、そのマッチョさの仮面の下には、驚きのバランスや安定性、巧妙さを秘めているクルマなのだ。
プッシュロッド式サスペンションは、コーナリング中のスロットル操作へ実に優れたレスポンスを示し、それによってノーズをインに向けてラインをタイトに捉える。四輪操舵は、しばしばちょっとばかりターンインが鋭くなりすぎ、とくにエンジンの勢いがあるときにはそれが明らかだが、低速コーナーでは素晴らしいヨーの変化を維持してくれるだろう。このアヴェンタドールの最新版は、ミドエンジン車の運動性の決定版というわけではないが、専門分野がそこに求められているわけではないクルマとしては十分すぎるほどだ。
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