試乗 マセラティMC12 エンツォ・フェラーリの心臓を持つロードゴーイングGT1
公開 : 2019.07.06 07:50 更新 : 2020.12.08 10:40
サーキットのために誕生したMC12
MC12は、当時のマセラティにとって耐久レース参戦への唯一の切り札だった。要件となっていた25台の公道仕様となる「ストラダーレ」が製造されるとすぐに、マセラティがバックアップしていたイタリアのレーシングチーム、AFコルセはFIA GTチャンピオンシップへの参戦を表明する。
しかしMC12の圧倒的な性能を憂慮したFIAは、90年代のメルセデス・ベンツCLK GTR参戦時と同様に、公認をシーズン後半まで遅らせる決定をする。競争が発生しないレースは、面白みも薄れてしまうためだ。だが2005年には参戦が認められ、マセラティは239ポイントを獲得し、コンストラクターズタイトルを射止める。ライバルを寄せ付けない強さで、フェラーリの倍近いポイントを稼ぎ出した。
その後MC12は2006年から2009年にかけても参戦し、2010年のFIA GT1世界選手権でも優勝を果たしている。一方でMC12の長すぎる全長から、アメリカン・ル・マン・シリーズでは参戦することすら難しかった。2005年に参加が認められるが、ポイントは獲得できていない。アメリカ・ヒューストンに本拠を置くレーシングチーム、リシ・コンペティツィオーネからも1台が参加していたものの、最終戦のラグナセカではクラッシュしてリタイアしており、記憶には残らない結果となった。
GT1での好成績を土台に、MC12のサーキット仕様「コルサ」も資金力のある富裕層へ向けて生産された。マセラティのカラー、ブルービクトリーで塗られたMC12コルサの価格は100万ユーロ(1億3000万円)。マセラティが認めたサーキットでの走行会、トラックデイでのみ走行が許された。GT1仕様に準じた最高出力は、755psを誇ったという。
マセラティMC12ストラダーレ(2004年〜2005年)のスペック
価格 | 新車時56万ポンド(8120万円)/現在250万ポンド(3億6250万円) |
生産台数 | 50台 |
全長×全幅×全高 | 5143✕2096✕1205mm |
最高速度 | 329km/h |
0-96km/h加速 | 3.8秒 |
燃費 | 4.3km/ℓ |
CO2排出量 | − |
乾燥重量 | 1335kg |
パワートレイン | V型12気筒5998cc |
使用燃料 | ガソリン |
最高出力 | 630ps/7500rpm |
最大トルク | 66.3kg-m/5500rpm |
ギアボックス | 6速セミ・オートマティック |