フォルクスワーゲンID R EVニュル最速ラップ更新、背景は 次なる狙いも
公開 : 2019.07.06 11:50
番外編:ID R 次なる狙い
モータースポーツ界における2大聖地を制覇したフォルクスワーゲンID Rは、今年さらにふたつの狙いを定めている。
その手始めとなるのがグッドウッドであり、ここでID Rはフェスティバル・オブ・スピードの短く急なヒルクライムコースに2回目の挑戦をすることになる。
2018年に新たなEV記録を打ち立てたものの、圧倒的な記録更新には失敗したID Rだったが、それもニュルブルクリンク用の空力セッティングがあれば、状況が変わるかもしれない。
そして、その後ID Rは本物の新たな地平を開くことになる。
世界最大のEV市場であり、フォルクスワーゲンが世界販売の約半分を頼る中国市場で、ID Rが素晴らしいショーケースとなることは明らかだったが、この国には歴史と伝統を持ち、挑戦しがいのあるモータースポーツというものが存在していないために、フォルクスワーゲンは自らの手で、ID Rに相応しい舞台を整えることにしたのだ。
今年の9月、ID Rは天門山へと向かい、通天大道での記録挑戦に挑むことになる。
まさに、やや小規模な中国版パイクス・ピークとも言える場所であり、全長10.9kmのコースは99のコーナーを持ち、標高198mから一気に標高1300mまで駆け上がる。
だが、この道でレースが行われるのは初めてであり、つまり、公式な記録と言うものが存在しないため、フォルクスワーゲンは、オンラインゲームのシミュレーションに参加者を集い、ロメイン・デュマが更新すべき目標タイムを設定することにしている。
まったく奇抜なコンセプトではあるが、ある意味ID Rには相応しい試みだとも言える。
モータースポーツでEVのテクノロジーを披露する場が限られるなか、フォルクスワーゲンではしばしば新たなチャレンジを探し求めていると公言しており、まさにこれはその究極の姿なのだ。