ロードテスト アウディeトロン ★★★★★★★★★☆
公開 : 2019.07.07 09:50 更新 : 2021.02.09 23:25
結論 ★★★★★★★★★☆
「円熟味とこの上ないラグジュアリーさを加えたプレミアムEV」
アウディeトロンを、強力なライバルを引き合いに出さずにジャッジすることはできない。昨年、欧州の古参ブランドがはじめて市場へ投入した高級EV、ジャガーIペースだ。とはいえ、多くの点でこの新型アウディは、クラストップにあるといえるだろう。電動自動車の分野で新たな境地を開くに足る洗練性とくつろぎをもたらし、実用性は高く、同じ価格帯のSUVでは持ち得ない性能と高級さを備え、EVであろうとなかろうと、これに肩を並べるものはまずない。
しかしながら、ドライバーズカーとはいえないのもまた否定できない。少なくとも、その点ではジャガーとは違い、テスラの最上位モデルがそう見なされているであろうパフォーマンスカー的なものでもない。動力性能もハンドリングも強力だが、それ以上にeトロンの購入の動機として重要視されるのは並外れた洗練性や高級感、実用性のほうだ。
400km以上は望めそうもない日常的な航続距離は、これを上回るEVが市販されていることを考えるとちょっとばかり残念だが、eトロンのサイズや万能性、充電サポートを考慮すれば、立派なものだといっていい。そして、ゼロエミッション車のランキングにおいても、立派な結果を残すこととなった。
担当テスターのアドバイス
マット・ソーンダース
eトロンが高級車であるなら、ひとつ苦言を呈したい。暑い日には、ちょっとばかりエアコンの効きが悪い。モーターやバッテリーの冷却も大事だが、キャビンもしっかり冷やしてくれないと。もっとも、これは改善できるポイントだろうが。
サイモン・デイヴィス
走らせてみると、もっともダイナミックでエキサイティングなEVではない。とはいえ、アウディが乗り心地の快適性や静粛性を強調したことは大いに好感が持てる。電動化にはしっくりくる。
オプション追加のアドバイス
寒い朝にうれしいヒーター付きステアリングホイールは400ポンド(約6.0万円)。アウディお得意のLEDマトリックスヘッドライトは1350ポンド(約20.3万円)で、他車からはありがたいだろうが、価格を正当化するのは難しいだろう。
改善してほしいポイント
・もう少し軽量化を。仕方ないかもしれないが、このクラスではもっとも重いクルマだ。
・もっと航続距離がほしい。もっと安価なEVで、より長い距離を走るものがあるのだから。
・乗り味とハンドリングを磨いて、より張りつめ、スポーティなボディコントロールにしてほしい。ただし、洗練性は損なわないままで。