ロードテスト アウディeトロン ★★★★★★★★★☆

公開 : 2019.07.07 09:50  更新 : 2021.02.09 23:25

操舵/安定性 ★★★★★★★☆☆☆

ボディサイズとウェイトには、明らかに食い違いが感じられる。このクラスのSUVとしては背が低いのだが、もっと大きなモデルと比べても数百kgは重いのだ。その理由は、700kgものバッテリーによるもの。ただそれは、このクルマの挙動から感じ取れるものではなく、路面がスムースであれば、ハンドリングに悪影響を与えることもない。

テスト車は標準仕様の20インチホイールを装着していたが、横グリップのレベルは十二分にあるように感じられ、方向転換のレスポンスや路面への食いつきにはエキサイティングと呼べるようなところがない。スポーティっぽさはオプションの21インチの方がわずかばかり上だが、テスター陣の間では、目先のよりシャープなハンドリングを得るために、全般的な走りの上質感を失うのはなしだという意見が大勢を占めた。

電動4WDシステムは、通常はリア偏重の駆動力配分で、非常に迅速なトルクベクタリング能力を備えるという触れ込みだ。しかし、実際にはそれを感じ取れるものではない。このクルマのハンドリングの性質で、もっとも印象的なのは足取りの確かさである。速めのコーナリングで見せるロールは思っていたほどではないが、それでもかなりのもので、中庸なギア比のステアリングによってターンインは穏やかだ。

コーナリング中も、確かな足がかりがある。アペックスを抜けて加速に入っても、フロントの接地具合がステアリングからしっかり感じられる。ハンドリングのバランスは、パワーオンでは決してニュートラルにならないが、操作を困難にするものではなく、容易に速度を上げつつ狙ったポイントへクルマを向けることが可能だ。

不整路面が混ざると、eトロンの控えめなハンドリングの安定感は悪化し、エアサスペンションは明らかにその重量を抑え込むのに苦労するようになり、コーナリング中のバンプではサスペンションの器用さを保てなくなる。それでも、このサイズとウェイトを考えれば、扱いやすく安定して精密なフィーリングを、アウディはみごとに作り出しているといえる。

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