快適性／静粛性　★★★★★★★★★☆

eトロンは本当の意味で、ゼロエミッションのパワートレイン技術が、ラグジュアリーなキャビンからノイズを締め出し、あるべき穏やかさや健全さを途絶えさせないものだと認識した最初のEVだといえるかもしれない。テスラやジャガーはその点で前進したものの、eトロンを走らせてみてはじめて、まだまだ改善の余地があったことに気づくはずだ。

ロールス・ロイスのように静かなわけではないが、113km/h巡航時の室内騒音は、モデルXよりファントムに近いという事実が多くを物語る。とりわけ風切り音は、通常のドアミラーを装着したテスト車でもみごとに打ち消されており、ロードノイズも最小限に抑えられている。さらに、アウディが細かい点のエンジニアリングへも幅広い範囲に注意払っているので、リラックスした日常使いができるものとしてラグジュアリーEVに興味を持っているユーザーはきっと満足を覚えることだろう。

このクルマの快適性のレベルは、落ち着いたハンドリングと同じく、スムースな路面で最高の状態を感じられる。幹線道路で出すような速度を、より過酷な道で保とうとすれば、eトロンは最終的にそれまでごまかしていた重さを露呈してしまう。垂直方向のボディコントロールが不足し、乗員は時として上下に揺すられて不快な乗り心地を味わうことになるのだ。ちょっとばかりフラットな標準シートは、乗員の背中を期待したほど支えてくれないが、それでも快適。もっと高いホールド性を望むなら、オプション設定のスポーツシートを選ぶこともできる。

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