時代を先取ったアウディA2 20年目の再会 いまだ新鮮さは失わず

公開 : 2019.07.06 09:50

アウディの声明 「3リッターカー」

アウディがこのクラスにモデルを投入したことはなく、初代A3でさえ当時は特異な存在だと見做されていたのであり、さらに、アルミニウム製ボディを採用していたのは、モデルラインナップの頂点に君臨するA8だけだった。にもかかわらず、彼らはアルミニウム製スペースを持つA2の量産化を決めたのだ。

A2は単なるクルマに留まらず、ある意味、アウディからの声明だった。プレミアムスーパーミニという概念が生まれる以前(初代BMW製ミニが登場する2年前のことだ)、アウディは、小型で比較的手ごろな価格のモデルだからと言って、決して、片手間に作り出されたモデルである必要はないということを証明しようとしたのだ。

だが、A2は、最小限の燃料で、4人の乗員をいかに移動させるかという、2019年の現在にも通用する問いへの回答でもあった。

900kg以下という軽量ボディは、高効率な小排気量エンジンの採用を可能にしており、英国上陸当時、ラインナップされていたのは、どちらも同じ75psを発揮し、1.4ℓという同じ排気量を持つ、4気筒ガソリンか、3気筒TDIディーゼルエンジンだった。


その後、より高価なプライスタグを掲げた、1.6ℓ直噴FSIガソリンエンジンも追加投入されているが、欧州市場では、非常に優れた燃費性能を誇る1.2 TDIエンジンがラインナップされており、33.3km/ℓという燃費によって、量産モデルとしては初めて、100kmを3ℓで走破可能な「3リッターカー」の称号を得ることにも成功している。

多くが知る存在となったことで、発売当時のA2が纏っていたデザインの独創性というものは、ほとんど失われてしまっており、アウディのヘリテージコレクションから借り出した、まるで新車のような、この走行距離わずか2万8000マイルの車両でさえ、英国の路上でひとびとの注目を集めることはない。

だが、個体数は減り続けており、そのペースも早まっていることを考えれば、A2にはふたたび新鮮味が与えられることになるかも知れず、個人的には近い将来クラシックモデルになる可能性のある候補として、このクルマは非常に有望な存在だと評価している。

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