時代を先取ったアウディA2 20年目の再会 いまだ新鮮さは失わず

公開 : 2019.07.06 09:50

エンジンだけが時代遅れ 比類なき先進性

だが、このクルマが積む1.4ℓTDIエンジンの古さだけは如何ともし難く、その存在意義は、過去20年でどれほどディーゼルテクノロジーが進歩したかを示すことにあるようだ。騒々しく洗練に欠け、アイドリングではキャビンに騒音と振動が容赦なく押し寄せるとともに、アクセルを深く踏み込まない限り、十分な力強さを発揮することもない。

パワーバンドは、2000rpmをやや下回る辺りから、4000rpmを越えた辺りまでと非常に狭く、ストロークの長い5速マニュアルギアボックスには引っ掛かりも感じられる。

それでも、確かに効率的なモデルではあり、わずか75psのクルマとは思えない活気を感じさせつつ、特に意識しなくとも、20km/ℓに近い燃費性能を発揮することも可能だろう。

全体的に見れば、登場から20年以上が経過しようとしているいまもA2は、その新鮮さを失っていない。


アウディのトップは、A2が収益性を確保したことはなく、損失を抑える前にモデルライフを終えることになったと認めている。

さらに、はるかにつまらないAクラスのほうが、セールスでは大きくリードしており、欧州市場における売り上げ比率はAクラスの4台に対して、A2はわずか1台というものだった。

最近では、修理の難しいアルミニウム骨格のせいで、ささいなダメージでも廃車になるケースも増えているようだ。

それでも、A2は小型モデルでも先進的で、違った存在になれるということを証明したのであり、残念なのは、現在のスーパーミニのセグメントに、このクルマほどの先進性を備えたモデルが見当たらないということだ。

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