オープンカー なぜ電動開閉式ハードトップ減少? ソフトトップ復活の背景

公開 : 2019.07.03 19:10  更新 : 2021.10.22 10:18

ハードトップにも長所 ソフト/ハードの代わりも

いっぽう電動開閉式ハードトップは、ソフトトップに比べて閉めた状態で停車する時のセキュリティが高い。ナイフでソフトトップを傷つけられたりする心配が少ないからだ。

また閉めた状態の遮音性や断熱性も優れ、ボディ剛性を高める効果もある。その代わりハードトップの格納スペースや閉めた時の外観に、難しい面が生じるわけだ。

現行マツダロードスターは、先代型に比べると全長とホイールベースを短く抑えた。電動開閉式ハードトップを成立させにくくなったが、先代型で高い人気を得ていたから、電動開閉ハードトップを追加しないわけにはいかない。

そこで現行型はRF(リトラクタブル・ファストバック)としている。ハードトップの収納スペースが狭まったから、リアピラーは残し、天井部分のみを格納する方式を採用した。商品化されるまでの開発には困難が伴ったが、ロードスターRFは巧みに開放感を演出して外観もカッコイイ。

そしてスープラにも当てはまる話だが、今の2シータースポーツカーは車種が減って少数精鋭になり、各車とも従来よりも走行性能に磨きを掛けるようになった。

そうなるとボディ剛性を高めたりトレッド(左右のホイールの間隔)を拡大して、ホイールベースは短く抑える。十分な走行安定性が担保されていれば(ここが重要)、ホイールベースは短い方が回頭性を向上させてスポーティな運転感覚を得られるからだ。

今のスポーツカーはこのようなトレンドだから、トップを格納するスペースがますます成約を受けてしまう。そうなるとハードトップよりもソフトトップの方が設計しやすいわけだ。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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