ありがとうコルベットC7 英国1車線道路の旅へ 楽しみ、スピードだけに非ず
公開 : 2019.07.20 09:50
1車線道路のみ 多くの名所
サリー出身というだけでなく、ギルフォードで1年間、バイク便のライダーをやっていたことがあり、ブルックランズからブライトンのルートは、勝手知ったる庭のような場所だった。コルベットのナビに頼ったり、且つてのように紙の地図でルートを探すようなマネはしなくても済むはずだ。
我らが編集主幹、ダミアン・スミスからは、今回の記事のきっかけとなった、実際に彼が達成したサリーから、ワンテジにあるウィリアムズF1チーム本部までの旅の話を聞かされていた。さも自慢げに「2車線道路を使ったのは、ほんのわずかな距離だった」と話していた彼を越えなければならない。だからこそ、1インチたりとも2車線道路は使わないと決心したのだ。
コルベットを受け取って、ブルックランズへと向かう途中、個人的に「魔の午前10時」と呼ぶ状況にはまり込んでいた。トラックは荷物の積み込みを続けており、子供たちを学校に送り届けた母親たちが、X5を路肩に停めて、コーヒーショップへと殺到している。
わたしのことを性差別主義者だと言うなら、ウェーブリッジに来てみたら、わたしの言っている意味がわかるはずだ。
確かにコルベット・グランスポーツはワイドなボディのモデルだが、実際には、標準仕様であればそのボディサイズは、ジャガーFタイプよりも2インチ(5cm)スリムなものとなる。
さらに、かなり昔に長期テストを行ったC6コルベットとは異なり、フロントフェンダーの頂点に与えられている真っ直ぐなエッジのお陰で、車両感覚は掴みやすく、この先には非常の道幅の狭いルートが待ち受けていることを考えると、この点は非常に有難かった。
コブハムでA3号線とクロスし、そのままこの高速道路沿いにオッカムの村を越えて進むと、かつてティレルF1チームのファクトリーだった建物の前を通過したが、ここには、いまではケーキのデコレーションを行うイタリア企業が入居している。
ただ、建物はそのまま残されており、ケン・ティレルがレース活動を始めた、古びた薪材木小屋も完ぺきな状態で維持されているが、こんな小さな場所から、世界チャンピオンを獲得したチームが誕生したとは、俄かには信じられない。
さらに、もうひとつの自動車世界における記念碑と呼ぶべき、イースト・ホースレイにあるロータス・ディーラー、ベル&コルヴィルも通過したが、ボビー・ベルとマーティン・コルヴィルはかつて、おそらくGT40やBRM P160といったモデルだろうが、所有するクラシックカーの1台をショールームに並べており、ここも定期的に訪れる場所となっている。
1980年代、実は彼らのサービス部門で働こうと思ったこともあったが、残念ながらその希望は実現しなかった。