レストアすることに必然性を感じた

P5Bクーペを過大評価しているようにも聞こえるかもしれないが、10分も運転すればそれが本当だとわかる。試乗したナッツフォードだけでなく、マクラーレンのディーラーもあり目を引く高級車も沢山走っているマンチェスターの中心部でも、注目度は高い。歩行者はローバーP5Bに振り向き、笑顔を見せてくれる。このクルマのレストアには最終的に2年半も要したそうだが、なぜそれほどの時間とお金をかけることにしたのか、疑問が湧いてくる。

サンダースは「必然を感じたんです」　という。「レストアをお願いしたトレバー・ファリントン社の丁寧で気を配った仕事は以前からクルマをお願いしていたのでわかっていました。このローバーP5Bの仕上がりも期待通りのものでした。登録時のままの、DPO3Lのナンバーというボーナス付きですよ」

クルマの仕上げにもお気に入りのeBayを利用したサンダース。「本当にこのサイトを巡るのが楽しいんです。新品状態のストックパーツだったマッドフラップや、リアビューミラー、ナンバープレートのボックスやエンブレム、エンブレムの固定バーなども、ネットで取り寄せました。いろんなものが見つかるんです。でも、どうしても見つからない部品もあります。所有するボルボ240GLTエステート用の新しいフロントシート。なかなか出てこないんです」

彼は最近、クルマのコレクションを整理したそうだ。1台増やしたら、1台減らすのがいまの彼のルール。つまり、このローバーP5Bクーペの後にも、別のクルマを手に入れたということだ。このP5Bクーペを手に入れるきっかけとなった、大好きだった祖父の名前を冠した彼の会社は、実は既に所有していない。2016年に経営権を譲ったという。しかし、このDPO3Lのナンバーの付いたローバーP5Bクーペは、間違いなくガレージに留まり続けるだろう。

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