ダイハツの「DNGA」 手放しに喜べないワケ 背景に「新興国」 独自の価値が必要

公開 : 2019.07.10 19:10  更新 : 2021.10.22 10:18

そもそも「新興国」の概念、もはや消滅!?

改めて新興国の現状を今の開発者に尋ねると「昔とはすべてが違う」という。

今ではアセアンNCAP、韓国のKNCAP、中国のCNCAPなども含めて、クルマの安全性を評価する機関もできた。

「安全性に対するニーズが高まり、コストが安いだけの粗末なボディは通用しなくなりました」とコメントする。

また別の開発者によると「新興国の賃金や所得も上昇傾向にあります。そのために以前に比べると、安全性の優れた相応に価格の高いクルマも購入しやすい状態になりました」という。

いい換えれば、いわゆる新興国と呼ばれていた国々にも、日本の軽自動車や小型車と同様の市場が形成されつつあるわけだ。

そのためにDNGAに基づく共通のプラットフォームやエンジンを使って、軽自動車と、国内/海外で売られる小型車を合理的に開発できるようにした。

スズキもパキスタンで、現行アルトと同じ660ccエンジンを搭載するクルマを発売した。価格は日本円に換算して779〜101万円だから(1ルピー/0.78円で計算)、国内で売られるアルトとほぼ同額だ。

もはや「新興国」という表現は、適切ではないかも知れない。日本や欧州と同様の商品力が求められている。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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