ディエップ産のダイヤモンド アルピーヌ・ルノー3台比較試乗 A110/A310/GTA

公開 : 2019.07.21 07:50  更新 : 2021.05.13 12:00

レースでも活躍

ネガティブ・キャンバーの角度を大きくしたことに加えてサスペンションのストローク幅を短くし、重心を限界まで下げたことで、非類のないコーナリング性能を誇った。ジョン・ボルスターがAutosport誌に寄稿した際には、トラクションがあまりにも際立っており、あらゆる合理的な説明を受けつけないとまで述べている。「リアがかなり外側に膨らむ場合もあるものの、それでも、リアエンジン搭載車特有の思いがけない制御不能なスリップにまで至ることは決してない」とボルスターは熱狂的に語った。だとすれば、スウイングアクスル・サスペンションの信頼性が極めて高かったと予測される。

A110がレースにおいて印象的な成績を挙げ始め、1971年にラリー・モンテカルロの1位から3位までを独占することで、生産後8年間にわたる高評価を不動のものとし、さらに2年後にもこの快挙を再現したことは驚くには当たらない。小柄な青いクルマが横腹を見せながら雪の中を走る光景は、70年代初頭にル・マンを席巻したマトラと同様、フランスの象徴となった。そして、伝説が生まれた。

アルピーヌは、その歴史的な勝利にあやかり、新型モデルA310を1971年に急いでジュネーブモーターショーで発表した。開発作業は1968年から始まった。常に抜け目のないレデレは、工場の拡張による費用を埋め合わせるため、アルピーヌを利益率の高い高級車市場に移行させる決定を下した。A310は、およそA110を直接後継するモデルではなく、むしろA110を補完する位置づけであり、アルピーヌは、この両モデルを1977年まで並行して販売した。

アルピーヌの伝統を受け継いだA310は、FRP製ボディとそれを支えるおなじみの鋼管バックボーンフレームを採用し、ポルシェ911と真っ向から競争した。A110に採用したのと同じR12のゴルディーニ・トランスアクスルの後ろに搭載したルノー17の4気筒エンジンを動力とした。ダブルウィッシュボーン式のリアサスペンションの設定を修正したことも、主な技術的改良点のひとつと言える。ベルリネッタの伝説的なコーナリング性能を損なうことなく改良を加えるため、リアエンドを改良したモデルが1973年から、A110の生産が終了するまでの4年間販売された。

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