グリフィスが待ちきれない 英国TVRの個性的なワンオフ・スポーツカー 10選
公開 : 2019.07.20 07:50 更新 : 2021.02.17 17:44
TVRトライデント・コンバーチブル(1965年)
いま振り返ると、TVRにとって最も大きなチャンスを失ったといえるのが、評価の高かったTVR流のデザインからトライデントが少し外れていたこと。結果的に、洗練されたモデルが求められるグランドツアラーというセグメントへは、一昔前の古びたタスミンに角ばったエクステリアデザインが与えられて追加されたのだ。
TVRトライデントは4台が作られ、アメリカ市場には不可欠なコンバーチブルも1台のみ制作されている。長くスラントしたボンネットには、4.7ℓのフォード製V8エンジンが押し込まれていた。トレバー・フロストによるデザインだったが、彼は仕事上はイタリア人だった母の旧姓、フローラを名乗っていた。
1965年に発表され、当時でもかなり高価な15万ポンド(2175万円)で受注を開始するも、TVRの経営体制の変更が重なり、トライデント自体の販売も難航した。量産モデルのスチール製ボディは、イタリア・トリノのコーチビルダー、フィソーレ社によって作られていた。TVRはその後破綻し、最終的に英国東部、サフォークにあったTVRのディーラーにトライデントの販売権が奪われてしまう。新しいオーナーとなったマーティン・ラリーはトライデントを130台製造し、美しいプロトタイプを社用車として手に入れている。
マニアな小ネタ
トライデントのグラスファイバー製ボディは、TVRの隣に位置していたグランチュラ・プラスティック社によるもの。