グリフィスが待ちきれない 英国TVRの個性的なワンオフ・スポーツカー 10選
公開 : 2019.07.20 07:50 更新 : 2021.02.17 17:44
ホワイト・エレファント(1988年)
当初192psの3.5ℓエンジンを積んでブラックプールで生まれたクルマは、1980年代に入るとローバー製V8エンジンを搭載し、パフォーマンスを向上させていった。しかしパワーアップするにつれて環境規制への対応も厳しくなり、TVRは方向転換を検討し始めた。そこで代替ユニットとして登場するのが、オーストラリアのGMホールデンが製造していた5ℓのV8エンジン。オーストラリアのマニュファクチャラーのために、ホールデン・コモドアのレースカーを製造していた、トム・ウォーキンショーによって供給を受ける計画だった。
446psを発生させるエンジンに、ボルグワーナー製のT5トランスミッションが組み合わされ、TVRの新しい経営者、ピーター・ウィーラーの好みに合わせて制作されたのがホワイト・エレファント。シャシーは420SEACのものが用いられ、350iベースのボディにはマッスルカーのようなオーバーフェンダーが付けられるなど大幅にモディファイ。ヘッドライトは固定式となり、パースペックス・ガラスのカバーが掛けられた。
しかし結果としてローバー製のV8エンジンでも環境規制を達成できることがわかり、ホールデン製のV8エンジンへの換装はなくなる。ピーター・ウィーラーは2年ほどこのクルマを所有したが、しばらくしてザンテのように工場の廃材置き場へ放置された。しかし幸運にもTVRのユニークな歴史を物語るクルマとして転売され、完全なレストアを受けている。
マニアな小ネタ
ウィーラーはクルマに銃を隠しておくため、秘密の小物入れを仕込ませたという。また、愛犬を乗せるためにシートの後ろに特注のカーペットも敷いたそうだ。