グリフィスが待ちきれない 英国TVRの個性的なワンオフ・スポーツカー 10選
公開 : 2019.07.20 07:50 更新 : 2021.02.17 17:44
TVRスピードエイト(1989-1990年)
TVRが予算を注ぎ込んでクルマを開発する際、われわれが購入したいと思うクルマではなく、自社なりの視点で実験的に取り組むことも少なくなかった。先にプロトタイプを制作し、試乗の反応が良ければ量産するという流れだ。スピードエイトはその好例だったといえる。
1989年のロンドン自動車ショーに姿を表した時は、ウェッジシェイプにかわるスタイリングとして、ややエッジが丸められたデザインを持つ、ロング・ホイールベースの2シーターだった。しかし、その翌年に姿を表した時はボディラインはそのままながら、2+2のレイアウトになっていた。2+2レイアウトでのオープンモデルはTVRとしては初めてで、この身代わりの早さは、ホワイト・エレファントのプロトタイプ制作の際に獲得したモデリング手法が生かされていた。ボディ骨格に発泡性のフォームを吹き付け、それを削り出し、グラスファイバーのクロスを重ねて整形したのだ。
スピードエイトの完成度は悪くはなさそうながら、タイミング悪く1990年の同じ年、TVRからはグリフィスも発表されていた。もちろん脚光を浴びたのはグリフィス。破壊は免れたスピードエイトは、倉庫へとしまわれた。
マニアな小ネタ
1989年のクルマには228psのローバー製3.9ℓV8エンジンが搭載されていたが、1990年のクルマには243psの3.9ℓユニットか290psの4.3ℓユニットが採用されていた。