字幕付き動画 スープラ vs BMW M2 vs 718ケイマンT vs アルピーヌA110 比較試乗
公開 : 2019.07.12 20:00 更新 : 2021.05.13 12:00
ポルシェ718ケイマンTの印象
ポルシェ・ケイマンは、外見も走りも、あらゆるメーカーが参考にするクルマだろう。スポーツカーを作りたいなら、ケイマンを目標にしなければならない。理由は簡単、最高のスポーツカーだからだ。
シャシーもミドエンジンも完璧に仕上がっている。今回試乗しているのは、最近登場したケイマンT。特に濃密なピュアさを追求したグレードだ。軽量化を意識しているが、布製のドアストラップにどの程度の効果があるかは疑問だ。
最小の2.0ℓエンジンを搭載し、300psを発生する。レブリミットは7000rpmに設定され、20mm低められたシャシーとトルクベクタリング付きLSDが特徴だ。
最もピュアな仕様で、濃密かつシャープでレスポンシブだ。シャシーはまさに至高。ステアリングは初期応答がややスローだが、徐々に重さを増し十分なフィードバックが得られる。遅めの挙動変化により、負荷の調節がしやすいだろう。
前後軸の動きも感じ取りやすく、素晴らしくバランスが取れているとしか表現のしようがない。あらゆるコーナーで遊べる。非常に楽しく、味わいのあるクルマだ。
ミドエンジンのおかげで、強力なグリップとトラクションが得られる。振り回すには相当のテクニックが必要だろう。公道でそれを試せば、保険会社との楽しいお話が待っているかもしれない。しかしサーキットなら存分にこのバランスの恩恵を実感できるだろう。
ここまで褒めて来たが、問題もある。お聞きの通りこのフラット4エンジンはわれわれが以前から批判している。ポルシェはWLTP適合のため微粒子フィルターを装着した。これによりサウンドが改善されたと言うが、わたしにはわからない。
しかし最大の問題は3000rpm以下でのトルク感がないことだ。最大トルクは2150rpmで得られるはずだが、そうは感じられない。アイドリング時のサウンドにスバルのような賑やかさはなく、空冷ビートルのようでスポーツカーらしいとは言えない。
しかしパフォーマンスは十分で、3000rpm超では回転上昇も早く機敏に走る。しかし低回転域ではもう少し頑張ってほしいところだ。ポルシェに求めるものがフラット6の雄叫びであれば期待はずれかもしれない。
しかしそれがない以上、シャシーを楽しむしかないだろう。本当に素晴らしく、一日中飽きない。有能なエンジニアがポルシェを参考にし、どうしたらこれに勝てるのかと頭を悩ませる意味がわかる。このクルマが心底気に入った。
次はフロントエンジンの2台だ。