奥深きスロットカーの世界 大人の楽しみ 精巧な造形 決め手はコントローラー
公開 : 2019.07.21 18:50
見事なシャシー 空想と現実
「メンバーがスケーレックストリックのボディシェルを持ち込んでくるので、ボディが取付けられるのはもちろん、新しいモーターとランニングギアが搭載できるようにシャシーをデザインして、3Dプリンターで成型をしています」と、彼は話す。
「1台当たり、3Dプリンターでの成型には最大2時間が必要です。こんなことが出来るクラブはそれほど多くはありません」
ラスが次のレースへの準備(真円になるよう旋盤でゴム製タイヤを削ったあと、タイヤが柔らかくなるようにオイルを塗り込むのだ)を中断して、どれほどアンジェロが作るシャシーが素晴らしいかを説明してくれた。
「シャシーには硬さが必要ですが、モーターを取り付ける箇所にはある程度の余裕が求められます。この余裕というのが、モーターとドライブトレインにとっては重要なのです」と、彼は言う。
「スロットカーにはサスペンションが付いていないので、モーターとドライブトレインが多少動くようにしておくことで、例え挙動が乱れても、タイヤがコースとの接触を保つことができるのです」
それでも、シャシー設計はアンジェロの専売特許というわけではない。例えば、戦前モデルなど、他のクラスでは、ピアノ線や真鍮製のシャシーも使われている。
ラスは見事な造形を見せるメルセデスW154を裏返して、そのシャシーを見せてくれたが、ピアノ線を美しくまとめた素晴らしいものだった。
クラブでは、こうしたモデルに特化した、サポートレースも開催している。メンバーのひとりは、いかにして自身のスロットカーにスターリング・モスのフィギュアを取り付けたかを話してくれたが、ある意味、それは、空想と現実の世界の境界が、曖昧になって来ていることを示しているのかも知れない・・・