ロードテスト DS 3クロスバック ★★★★★★☆☆☆☆
公開 : 2019.07.21 09:50 更新 : 2022.04.23 11:57
操舵/安定性 ★★★★★★☆☆☆☆
PSAの新たなプラットフォームであるCMPの採用第1弾が、低くて軽く俊敏なコンパクトカーではなく、背の高いコンパクトクロスオーバーだったのは残念な気もする。とはいえ、この手のクルマの人気がいかに高いかを考えれば、驚くには当たらない。ただ、これが普通の車高のハッチバックだったなら、このプラットフォームのハンドリングの実力を存分に試すことができたはずだ。
DS 3クロスバックの走りは当たり障りないが、これほど人目を引き賛否が渦巻くルックスに比べたら、驚くほど記憶に残らないものだ。ミニ・クロスオーバーやアウディQ2といったライバルたちはダイナミックさに富むことを売り物にしているが、それに比べてこのDSはプレーンで、味気ない印象。それはまるでPSAが、いまだDSをシトロエンに次ぐコンフォート志向とプジョー以上のシャープさとダイナミックさを併せ持つブランドにしようと目論んでいるかのようだ。
速度域の高いカントリーロードでみせるロードホールディングは素晴らしい。しかし、それはかなり柔らかいスプリングやアシスト機能によるもので、アジリティやフィールはやや不足気味だ。コーナリング中にトラクション不足を憂慮することはないが、ソフトなスプリングレートは思うより大きなロールやスローなステアリングレスポンスを招く。ロック・トゥ・ロック2.75回転の設定もあり、ステアリングはそこそこクイックなだけで、接地面から手元に伝わるインフォメーションはほぼ皆無なので、機能的には問題ないが、運転に夢中にさせてくれる要素を見いだすのは難しい。
もちろん、多くのドライバーにとって、B級道路での走りがどうなのかは知りたいところだろうが、それ以上に重要なのは、狭く混み合った市街地での操縦性や立体駐車場での取り回しが楽にできるのかという点ではないだろうか。その場合は、軽いステアリングが有利に働く。しかし、リアウインドウが小さいので、狭いパーキングでは苦労させられそうだ。