試乗 アルピナ現行ディーゼルモデルで探る「らしさ」 アルピナD5 S編

公開 : 2019.07.21 20:50

日本でアルピナを選べるということ

にわかに信じ難いが、このD5 Sのみならず、近年のアルピナの多くのモデルのダンパーはベースモデルと同じものを使っているそうだ。

聞けばタイヤの銘柄やスペックを開発時点から一本化し、それに合わせこんでスプリングやマウント類のファインチューニングを施すことでこの乗り味が実現しているという。

年間販売台数は2000台程度と聞けば、BMWにとっては誤差のような数字かもしれない。が、それでもアルピナはBMWと特別な関係を築き続けている。そこにはもはやビジネスの利害的な問題を超えたなにかがあるということだ。

古くはノイエクラッセのパワー不足を補うツインキャブキットの供給から始まったという両者の歴史にはわれわれには窺い知れないものがあるのかもしれないし、BMWの大株主であるクアント家と現在も独立資本のファミリービジネスであるアルピナのボーフェンジーペン家の間には欧州的なエスタブリッシュメントの関係があるのだろうかと邪推も働いてしまう。

ともあれわれわれにアルピナという選択肢があるのは間違いなくハッピーなことだ。初上陸から40年にわたり、輸入業務を一手に担ってきたニコルオートモビルズの地道な努力もあって、アルピナの各モデルは全てのBMWディーラーで取り扱われている。

もちろん車両が全国の店舗に常備されているわけではないが、展示や試乗の機会があれば、ぜひその作り込みや味付けの妙を体験してみていただきたい。

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