ロードテスト メルセデス・ベンツGクラス ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.07.28 09:50

意匠と技術 ★★★★★★★★★★

40年もの歴史を重ねてきたGクラスだが、これまで明確に世代を区切れるような改良や刷新を経験してきたことはなかったといってもいい。しかし今回は、明らかな刷新が図られた。上部構造をはじめ、アクスルやボディパネル、エンジンやインテリアまで新設計だ。しかし、ほぼ手作業で組み上げられ、1台が完成するまでにのべ100時間を要する点は今までどおりである。

オフロードの伝統に則り、ラダーフレームにボディを載せる構造を踏襲している新型Gクラス。そのボディはアルミとスティールの混成となり、先代の最終モデルより53mm長く、121mm広いが、フレームとボディの重量は170kg軽くなったうえに、ねじり剛性はおよそ55%高められている。メルセデスAMGが開発やチューニングに参加したサスペンションは、Gクラス史上初の独立懸架をフロントに導入。そのフロントサスペンションは、ラダーフレームに直接マウントされるダブルウィッシュボーンで、タワーバーが装着される。リアは新設計のリジッドアクスルで、左右各4つのトレーリングリンクに、パナールロッドを加えて支持する。

車高調整は備えず、コイルスプリングと調整式パッシブダンパーを装備するが、先代比でオンロードでの乗り心地やハンドリングの改善ぶりは顕著なものがあるとされる。もちろん、それがオフロード性能を犠牲にしたものではない。最低地上高は6mm増し、渡河深度は10mmのプラス。アプローチとデパーチャーのアングルも、わずかながら向上している。

エンジンは、これまでV8ツインターボのガソリンユニットのみで、G500の422ps版と、AMG G63の585psが設定されていた。これに追加されたのが、G350dの2.9ℓ直6ツインターボディーゼル。そのOM656ユニットは、286psと61.2kg-mを発生。最大トルクは、ほぼG500と変わらないが、RDE排ガス規制に適合する。トランスミッションは専用調整された9GトロニックATで、エコモードでスロットルペダルを抜くと、パワートレインとホイールの接続をカットし、コースティング走行することが可能になる。WLTPモードの混合燃費は9.2km/ℓとまずまず。われわれがテスト中に記録した燃費については、追い追い紹介しよう。

エクステリアは、フォルムもディテールも歴代モデルの特徴を色濃く残しつつ、完璧なアップデートを果たしたといえる。剥き出しのドアヒンジや大ぶりなドアハンドル、昆虫の目のようなウインカーや外付けスペアタイヤなどは継承された。いっぽうで、パネルのフィッティングはタイトになり、バンパーやホイールアーチはボディとの一体感を増し、過去のGワーゲンには望み得なかった製造クオリティを感じさせるものとなっている。

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