ロードテスト メルセデス・ベンツGクラス ★★★★★★★★☆☆

公開 : 2019.07.28 09:50

操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆

Gクラスはこれまで、ある意味で時代錯誤のハンドリングに固執してきた。それにより、粗いクルマだと思わされたことだろう。舵の重さ、甘いスプリング、グリップレベルの低さ、そして旧式のリサーキュレーティングボールゆえに欠如したセルフセンタリングやフィール、中立でのスタビリティにより、現代的なSUVのようなイージードライブは叶わないからだ。

新型は、まったく異なるものだ。新採用の電動ステアリングとサスペンションは、オンロードでいかなる大型四駆とも変わりない操縦性をもたらすハンドリングのアキュラシーや横グリップ、高速スタビリティを生む。必要とあればそれなりに速く容易に2地点を結べるが、いっぽうで高級車らしいキャラクターを最高に演出する、リラックスしつつも安全なモードも備え、前席からの見晴らしも楽しめるというわけだ。

扱いやすい速さでほどほどの手応え、予測しやすさは、ステアリングをすばらしく付き合いやすいものにし、同じく高さ以上に幅が増したこのクルマを、狭い道でも安心できるほど精密だと感じさせる。

このG350dは徐々にロールするが、選んだコーナリングラインをきわめて忠実に守り、オン/オフ共にこなす二面性を備えたどんな大型SUVにも劣らぬハンドリングレスポンスとグリップを持ち、ジャンクションや駐車場でも十分に敏捷で取り回しに優れるが、回転半径はもっとタイトにできたはずだ。

絶対的にはハンドリングのダイナミズムを示さず、なににも増してゆったりとしたペースを好むことがはっきりわかるため、Gクラスのキャラクターはそのままだと感じられる。それでもこのクルマは、いかなる速度域でも運転が楽しめて、粗雑さや扱いにくさ、スタビリティの欠如とは無縁だ。

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