FFベース4輪駆動の功と罪 初試乗 BMW 1シリーズM135i 4気筒ターボは306ps
公開 : 2019.07.25 10:10 更新 : 2019.07.25 10:16
トルクステアと合成サウンド
8速ATとエンジンとの相性も良く、AT任せでも瞬時にスムーズに変速を繰り返すし、ステアリングホイールに取り付けられた、テキパキと反応するシフトパドルを弾いても、反応は迅速。調子づいてエンジンを回すと、低回転域で勇ましく響いていたエグゾーストノートは、4000rpm過ぎ辺りから退屈な人工合成のメカニカルノイズに入れ替わってしまう。スポーツモードを選択すると、そのボリュームは大きくなる。音質としては不快なものではないにしろ、間違いなく正直な音ではない。もちろん、ストレート6のサウンドを再現しているわけでもない。
積極的に加速させていくと、かつての1シリーズには存在し得なかった別のものが姿を見せる。トルクステアだ。決して激しいものではなく、トルセン式LSDが動作するような場面に限られるが、従来とはまったく異なる1シリーズだと知覚させるには充分な手応えがある。付け加えるなら、メルセデス-AMG A35やフォルクスワーゲン・ゴルフRは、これほどまでに気にならなかった。
だが、トラクションは極めて高い。有能な4輪駆動システムとトラクションコントロール・システムが組み合わさり、306psをまったくムダにすることなく、コーナーから脱出していける。
コーナーへの侵入時も、フロントタイヤが路面を掴む力は凄まじい。クイックなステアリングを回す途端、BMWの鼻先は瞬時に反応する。ステアリングへ伝わるフィードバックも充分にあり、ドライバーが選んだラインを忠実に進んでいく。スロットルペダルを踏む脚の力を緩めるとタックインが発生し、M135iはエイペックス目がけてさらに力強く回り込んでいく。リアタイヤはマルチリンク・サスペンションで支持され、スロットルオフ時の回頭性やコントロール性も高い。